(株)日本総合研究所は8日、聴覚障害者の情報バリアの把握とこれからの新しい情報通信手段についてアンケートを行ない、結果を発表した。アンケートは、聴覚障害者のためのバリアフリーがあまり進んでいない現状から、情報バリアの把握とこれからの新しい情報通信手段について、1月に聴覚障害者98名を対象として実施したもの。
情報バリアを感じている場所としては交通機関や病院などが挙げられ、具体的には、電車などでの移動中の状況、病院での受付、医師による病状の説明などで情報バリアを感じるとしている。このような結果から、現在、主に音声での情報伝達が行なわれている場所において、文字による情報手段を検討する必要があるとしている。
通信においては、保有する通信機器として“ファクス”が96.9%と最も多い。しかし、65%の所有者がリアルタイム性がないことからファクスについて不便を感じており、今後、入手したい通信機器として、46.9%の人が“テレビ電話”を挙げた。この結果からは、リアルタイム性を持った通信手段を早急に整備することが望まれるとしている。来年度から市場導入が予想される次世代携帯電話に期待するとしている。
また、情報バリアフリーを実現する1つとして期待される“リレーサービス”* については、認知の割合は低いが、サービスを認知している人ほど利用ニーズを強く感じている。現時点では、聴覚障害者の多くが必要性を挙げているが、次世代携帯電話においては、文字メール、ファクス、映像の3つが1つに統合されることも考えられるとしている。実際に、聴覚障害者の携帯電話などによる文字メールの利用が増加しており、リレーサービスを検討する場合は、携帯電話・PHSの文字メールを中心にした“日本型リレーサービス”のシステムを検討することが望まれるとしている。
* リレーサービス:聴覚に障害を持つ人が電話で自由に情報交換できるように、電話の音声を文字や手話へ変換する機能を電話通信網に持たせるサービス。米国では、通信事業者がリレーサービスを提供することが法律で定められている。