ベストセラーになった『VAIO PCG-505』シリーズの後継となる、ソニーの新型B5ノート『バイオノートSR』が遂にベールを脱いだ。その概要は、5月16日付の記事
(http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/2000/0516/hard07.html )でもご紹介したが、デザインを一新した本体、SpeedStep対応のモバイルPentiumIII-600MHzとWindows
2000を搭載した高いパフォーマンスと信頼性などを特徴としている。ASCII24編集部では、この注目の新製品『バイオノート
PCG-SR9/K』を発売に先立ち、いち早く入手することができたので、以下、その詳細をお届けしよう。
新デザインで登場した『バイオノート PCG-SR9/K』 |
さらに軽く、サイバーになった新型筐体
PCG-505シリーズの特徴は、マグネシウム合金を採用した薄型でスタイリッシュな外観である。そのデザインに惚れ込んで、実機を購入したユーザーも少なくないはずだ。バイオノートSRでは、この定評あるPCG-505シリーズのデザインを基に、軽量化や放熱のための試みを盛り込んだ新型筐体を採用している。まず、目を引くのは、バイオのトレードマークだった、薄紫のメタリックカラーが変更された点だ。ソニーでは、本体のディスプレーとキーボードの部分を“PCゾーン"、パームレストの部分を“エンターテインメントゾーン”と呼び分けているが、バイオノートSRでは、このエンターテインメントゾーンにパールがかったシルバーを採用。従来のイメージを一新した。
パームレストの左右には、著作権保護機能“OpenMG”に対応した『MGメモリースティック』用のスロットとジョグダイヤルを装備。メモリースティックスロットは、差し込んだメディアのラベルを確認するための窓を用意した、凝ったつくりで、サイバーな外観のアクセントとなっている。
一方、従来本体の4面に採用されていたマグネシウム合金は、天面と底面の2面のみに使用。残りは樹脂製することで、重量をPentiumIII搭載モデルとしては、最小クラスの1.34kgに抑えている。
金属特有の剛性とひんやりとした質感があった従来機より、多少脆弱な印象を持つことは否めないが、常に持ち運ぶノートPCの重量は少しでも軽いほうがいいのは言うまでもないだろう。
また、今回Pentium IIIを採用することで、CPUの発熱量がアップしているが、バイオノートSRでは、『サーモナイダミクス エアダクト』と呼ばれる独自の放熱機構を利用して、排熱を行なっている。これは、底面に吸気口を持つ大型の放熱ファン、ヒートシンク、CPUを“く”の字型に配し、2本のヒートパイプを通じてCPUから伝わってきた熱をファンで本体側面のエアダクトに逃がすと言うものだ。
ヒートパイプが1本で、かつヒートシンクとCPUとの間が離れていた従来のバイオノートに比べ、格段に排熱効率が向上している。
余裕のスタミナ、3600mAhの大容量バッテリー
モバイル用途を考えた際の懸念事項は、バッテリーの持ちである。バイオノートSRでは、今回3600mAhの大容量バッテリー(6セル)を搭載することで、B5ノートとしては、破格のバッテリー持続時間を実現している。今回月刊ASCII DOS/V ISSUEの協力で行なったバッテリのランダウンテストでは、600MHz駆動のパフォーマンス優先モードで2時間26分、動作時間優先の450MHz駆動時では実に2時間50分の連続使用が行なえた。モバイルPentium IIを搭載する従来機の『PCG-N505AS』が1時間21分だったことを考えると、その長さがわかる。
なお、バイオノートSRでは、大容量の6セルバッテリを搭載しているが、本体サイズはPCG-505と同じ、幅259×奥行き209mmに抑えられている。これには、新デザインのコンパクトなバッテリーパックを使用していることもあるが、従来機に装備されていたIrDA、ポートリプリケータ接続用、専用スピーカ用の各端子が取り除かれた点も大きい。本体には、USBとi.LINK端子など、最低限の拡張性は確保されているが、今回からFDDもオプションになっているので、注意しておきたい。
モバイルPentium IIIを中心にした高いスペック
このように、従来機に比べ大幅な改善が行なわれた感のあるバイオノートSRだが、そのスペックも魅力的だ。まず、CPUはSpeedStep対応のモバイルPentium III-600MHzを搭載。メモリは標準64MBで、最大256MBまでの拡張が可能。HDD容量は12GBで、グラフィックアクセラレーターは米NeoMagic社製のMagicMedia256XL+(NM2380)。ビデオメモリーは6MBを内蔵している。キーボードは、従来同様17mmピッチ/2mmストロークで、若干底がやわらかい印象があるが、硬めのしっかりとした打鍵感がある。パームレストの部分には、スピーカー用の空洞があり、音質も良好。ディスプレーは1024×768ドット/フルカラー対応の10.4インチ低温ポリシリコンTFTとなっている。
なお、今回詳しく評価することはできなかったが、同梱ソフトには、音楽ファイル管理ソフト『OpenMG Jukebox』や『VisualFlow』などの新ソフトが追加されている。
OpenMG Jukeboxは、MGメモリースティックへの書き込み、読み込みが可能な音楽ファイル管理ソフトで、音楽CDからATRAC3やMP3に対応した音楽ファイルを作成したり、その管理ができる。また、同社の著作権保護技術“MagicGate”にも対応しており、MGメモリースティックにコピーして、同社の販売している携帯プレーヤ『メモリースティックウォークマン』上で再生したり、インターネット上の音楽配信サイトからコンテンツをダウンロードすることができる。
現在対応しているウェブサイトは、同社の提供する『bitMusic』(http://bit.sonymusic.co.jp/ )、
『bitmusic International』(http://bit.sonymusic.co.jp/Int/index.html )、
エイベックスグループの提供する『@MUSIC』(http://atmusic.avexnet.or.jp/ )など。
また、VisualFlowは、メモリースティックをPCに差すだけで、その内容を一覧表示する機能などを持つ画像管理ソフトである。
PCG-SR9/Kの価格はオープンプライスで、実売価格は20万円台後半。夏商戦を視野に入れた各社のB5ノートは、上位モデルがほぼ同価格帯。コストにダイレクトに響く、CPU/液晶のスペックもほぼ同等で、DVD-ROMやCD-RWを搭載している機種もあることを考えると、必ずしもコスト的に有利とは言えないが、バッテリ寿命と友達に見せびらかしたい斬新なデザインは大きな魅力である。B5サイズの快適な画面サイズ、キータッチのサブノートを外出先で長時間使いたいユーザーにとって注目の1台であることは間違いないだろう。