2000年3月8日~12日(現地時間)、米カルフォルニア州サンノゼのSan Jose
Convention Centerにおいて、GDC 2000が開催された。10日の米マイクロソフト社のビル・ゲイツ(Bill
Gates)会長の基調講演で、ゲーム専用機『X-Box』(仮称)の全容が明らかとなった。
本稿ではソフトウェアやグラフィックスカードなど、GDC 2000で注目を集めた製品を中心にレポートする。
『シェンムー 二章』は中国を舞台に
セガ・エンタープライゼスのプロデューサーである鈴木裕氏(右から2人目)は、「映画などゲーム以外のメディアや、自然の風景などから新しいゲームのコンセプトを考え出すことが大事だ」と語る |
『シェンムー 二章』は、中国を舞台に繰り広げられたストーリーとなる |
12日の基調講演では、(株)セガ・エンタープライゼスのプロデューサーである鈴木裕氏が壇上に現れ、『シェンムー
一章 横須賀』の英語版を紹介した。シェンムーはDreamcastをプラットフォームとしたロールプレイングゲームで、昨年12月29日に日本で発売されて以来、売れ行きは好調だ。鈴木氏は『ハングオン』、『スペースハリアー』を始め、『バーチャファイター』シリーズなどの大ヒット作品を送り出したことで世界的に知られている。英語版はシナリオの翻訳がようやく終了した段階で、発売日は明らかにされなかった。
鈴木氏はシェンムーの制作現場を撮影したビデオを上映し、キャラクターの石膏像を3Dスキャナーで取り込んで基本データを作成するテクニックや、体と手の動きを別々に取り込むモーションキャプチャーの手法などを紹介した。また、中国を舞台にした続編『シェンムー
二章』の画像が一部公開された。
3Dゲームの開発環境を提供するHAVOK.COM
3Dゲームの開発環境を提供するアイルランドのHAVOK.COM社は、'98年に設立され、'99年9月に(株)ソニー・コンピュータエンタテインメントに対し、3Dゲームの開発環境を提供するライセンスを結ぶなど、急成長を遂げている。CEOのスティーブン・コリンズ(Steven Collins)氏はダブリンの大学に勤めていたが、そこの学生を引き連れて会社を起こし、WindowsやPlayStation 2をプラットフォームとした3Dゲームのフィジカルエンジンを開発している。HAVOK.COM社のCEOを務めるスティーブン・コリンズ氏 |
――HAVOK.COMの開発した、物理運動をリアルタイムでリアルに表現することができるという“フィジカルエンジン”を使用したゲームタイトルを教えていただけますか?
コリンズ氏(以下、同)「契約上の理由ですべてを明かすことはできないのですが、代表的なゲームタイトルには、英Headfirst
Productions社の『Call of Cthulhu - Dark Corners of the Earth』があります」
――実は米セガ オブ アメリカ
ドリームキャスト社のチャールズ・ベルフィールド(Charles Bellfield)氏にHAVOK.COMの製品を使う意志はないのか尋ねたところ、「ノーコメント」としながらもたいへん興味のある様子でした。これまでに、セガから何かコンタクトはありませんでしたか?
「それは、たいへん嬉しい話ですね。いえ、残念ながらまだコンタクトはありません」
――HAVOK.COMのサービスは、開発環境を提供するだけなのでしょうか。たとえば、プログラマーをゲームベンダーに派遣するようなことはしていないのですか?
「もちろん、われわれのビジネスは、ベンダーにツールを渡してそれで終わりにしてしまうようなものではありません。ゲームが完成するまで、責任をもってお手伝いをさせていただいています」
――カルフォルニア州に進出されていますが、最初から米国内で会社を設立しなかったのはなぜですか?
「私がダブリンの大学に勤めていた当時、そこの学生を引き連れて会社を起こしたという経緯があったためです。また、ダブリンの税金はカルフォルニア州よりもずっと安いのです」
――日本へ進出する予定はありますか?
「はい。年内に日本法人を立ち上げる計画があります」
――貴社は'99年にTelekinesys Research LtdからHAVOK.COMに社名変更していますが、その理由をお伺いできますか?
「はい(笑)。外国人のあなたは、“Telekinesys”をうまく発音できますか? つまり、そういうことです(笑)」
リアルタイムの3Dモーションキャプチャーシステムを提供するVICON
英Vicon Oxford Metrics社のブースでは、3Dモーションキャプチャーのシステム『VICON 8』が来場者の注目を集めた。スクリーンの中の3Dキャラクターが、人間の動きにあわせてリアルタイムで動作する。キャラクターのクオリティーが高く、動きもスムーズだ。ゲーム制作だけでなく、テレビ番組などの現場でも活用できるだろう。『VICON 8』のデモストレーション。人間の動きに加えて、オペレーターが3Dキャラクターの動作をコントロールすることができる |
マルチ対戦ゲームを体験
展示会場入り口付近には、ネットワーク対戦のゲームが展示された。向かい合わせの端末を使って来場者同士で対戦できる。『Tread Marks』は、日本人ゲーマーにも好まれそうな、戦車を使ったWindows対応の3Dアクションゲーム。ウェブサイトからオンラインで購入できる。向かい合わせの端末を使って来場者同士でネットワーク対戦を体験できる |
Tread Marksは、自分の戦車を敵に壊されたときのアニメーションが美しい。「人が死んだり、戦車が壊れたりといったことをリアルに描くのは好きじゃないんだ」と、Tread
Marksを開発するカナダのLongbow Digital Arts社のデザイナーは語ってくれた。
3Dグラフィックスアクセラレーターカードが出揃う
展示会場では、米3dfx Interactive社、カナダのATIテクノロジーズ社、ドイツのエルザ社などが、3Dグラフィックスアクセラレーターカードを出展した。Macintosh対応のVoodoo 4とVoodoo 5は、4月にWindows対応版を発売してから数週間以内にを発売になるという |
3dfxは、今年4月に発売予定の『Voodoo 4 4500』と『Voodoo 5 5500 PCI』などが展示されていた。これらは同社の新グラフィックスチップ『VSA-100』を搭載している。Voodoo
4はグラフィックメモリー32MB、Voodoo 5は16~128MBの製品が用意される。
ATIは、現行のMacintoshが搭載するビデオカードを提供していることでも知られている |
ATIは『RAGE FURY MAXX』を展示した。『RAGE 128 PRO』グラフィックスチップを2個搭載した製品で、64MBのメモリーを搭載する。AGP
2Xおよび4Xに対応する。画面解像度は、1600×1200ピクセルまでに対応。今年4月の発売が予定されている。
エルザのブース。イメージキャラクターの女性と一緒に写真撮影してくれるサービスを行なっていた |
エルザは『Gloria II』を展示していた。米NVIDIA社のQuadroチップを搭載する、プロフェッショナルユーザーを対象にした製品で、標準価格は799ドル(約8万4000円)。今年2月に発売された。64MBのメモリーを搭載する。端末への接続には、AGPバスを使用する。画面解像度は、2048×1536ピクセルまでに対応している。