日本アイ・ビー・エム(株)は28日、記者会見を開催し、企業向けのERP(*1)システム販売に関して、アーサーアンダーセン・ビジネスコンサルティング(以下アーサーアンダーセン)および日本ジェイ・ディー・エドワーズ(株)(以下J.D.エドワーズ)と提携を結んだと発表した。
左から、日本J.D.エドワーズのヴィック・シャズニー社長、アーサーアンダーセンの喜多村晴男取締役、同じくアーサーアンダーセンの平山賢二代表取締役 |
この提携は、連結経営を目指す企業ユーザー向けのERPシステム『AKIT』(エイキット)の販売に関するもの。AKITは今回提携した3社が共同で開発したERPシステム。日本IBMのメインフレーム『AS/400』上で動作するJ.D.エドワーズのERPシステムに、アーサーアンダーセンが連結経営への適応をサポートするモジュールを付加し、コンサルティングサービスも含めて提供するというもの。当面はAS/400がプラットフォームとなるが、UNIXやWindows
NT Serverなど、他のプラットフォームへの対応も検討しているという。
AKITがターゲットとするのは、売り上げが200億円規模かそれ以上で、関連企業などを傘下に持つ中堅・大手企業。会計制度の変化に対応できるように、システム全体レベルでのユーザーサイドのカスタマイズが可能になっている。また、一般会計、売掛管理、買掛管理など、各モジュールについて、テンプレートを設定している。あらかじめテンプレートを設定してあることで、ユーザーは必要最低限のカスタマイズを行なえば、通常のERPシステムに比べて4分の1程度の導入期間で実稼動が可能になるという。「日本独特の帳票制度も考慮しており」(アーサーアンダーセン平山氏)、最短で4ヵ月程度での導入、稼動が可能だという。
日本IBMの印藤公洋氏は、「インターネットの導入により、欧米ではビジネスの有り方が激変している。SCM(*2)やCRM(*3)の進め方も変わってきている。この変化はビジネスチャンスを生むと予想している。今回のパートナーシップによって、これまで個別に顧客にアプローチしていた3社が最初から共同で営業活動を行なうことが可能になる」とコメントした。
J.D.エドワーズのヴィック・シャズニー(Vic Schasny)社長は、「企業ごとに個別に開発したシステムでは、市場や顧客のニーズの変化に対応できず、ビジネスチャンスを失うことになる。AKITはあらかじめ必要な要素をパッケージ化したシステムであり、サーバーをIBM、基幹システムをJ.D.エドワーズが、そしてカスタマイズとコンサルティングをアーサーアンダーセンが提供するという、各分野のスペシャリストが技術を持ち寄ることで、きめこまかいサービスが提供できると考えている」と述べた。
AKITはすでに1社に導入済みで、数社から引き合いがあるという。システムの価格は5000万円からとなる。3社では、AKITに関する説明会などを共同で開催し、ユーザー拡大を目指すとしている。初年度で30ユーザー以上の獲得を目指すという。
- 注1)ERP:Enterprise Resource Planning(エンタープライズリソースプランニング)の略。全社、あるいは部門単位で統合したデータベースなどとの連携により、財務、人事、販売管理、物流などを統合的に管理運用するシステム。注2)SCM:Supply Chain Managementの略。製造業などを対象とした生産物流管理システム。原材料購入から製品出荷までの物流や、在庫などの管理を行なう。米国では消費財、ハイテク関連企業などを中心に導入されている。注3)CRM:Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネージメント)の略。情報通信技術を利用して顧客の分析を行ない、その顧客に最適なサービスや商品を提供する。日本IBM
- J.D.エドワーズ
- アーサーアンダーセン