Windowsアプリケーションの開発会社などが運営する団体“Windowsコンソーシアム”は本日、WindowsNT5.0に関するセミナーを開催した。マイクロソフト(株)デベロッパー製品部の熊谷恒治氏が、現在開発を進めているNT5.0のキーとなる機能について、3時間にわたり解説を行なった。
熊谷氏がNT5.0最大のポイントとして挙げるのは、“Active Directory”というデータベース管理機能。プリンターやサーバー、ネットワーク関連機器のほか、ファイルやデータなど、ネットワーク上に分散するリソースを階層化して管理できるのが特徴だ。たとえば、企業内LANにおいて、○○部の下に××課、××課の下に△△さんというようなピラミッド型の階層化を行ない、△△さんの個人データ、利用可能なプリンターやサーバーなどをひとまとめにして管理する、といった利用もできる。
また、従来はアプリケーションごとに、名前、メールアドレス、電話番号、住所などの個人のプロパティを別々に入力していたが、Active
Directoryで各アプリケーションにまたがる同一のプロパティなどを一括管理することも可能。個人のプロパティや利用できる機器、新規ユーザーなどの項目は自由に追加・拡張できる。
Active Directoryのデータベースは、双方向のレプリケーションが可能。プロパティ単位のレプリケーションも行なえ、余分なトラフィックが軽減できる。Active
Directoryには、ADO、OLE DBなどのAPIでもアクセスできるが、同社はActive
Directoryの機能をフル活用できる専用API“ADSI(Active Directory Service
Interfaces)”の開発を進めている。
セミナーでは、NT5.0のセキュリティー機能、ネットワーク機能についても説明が加えられた。
セキュリティー機能のポイントとしては、認証システム“Kerberos(ケルベロス)”の導入が挙げられる。Active
Directoryに照会しつつ各種認証を行なうシステムで、双方向の認証にも対応するため、企業間の認証などにも利用できる。スマートカードを用いた認証にも対応する。また、同社開発のAPI“SSPI(Security
Support Provider Interface)”を利用して、KerberosやNTLM、SChannelなどの認証システムを利用したアプリケーションの開発もできる。
ネットワーク機能では、インターネット電話やインターネットFAX、TV電話などのCTI対応機能が強化される。この強化を担うのが“TAPI”と呼ばれるAPIのバージョン3.0。TAPI
3.0は、Active Directoryとの連携機能もサポートしており、通信先の名前を入力すると、電話、FAXなどがかけられるようになるという。
WindowsNT5.0は巨大なOSだ。マイクロソフトは、その巨大なOSにさまざまな機能を付加する一方で、OS自体あるいはユーザーインターフェースをシンプルにすることに力を入れている。とはいえ、3時間という時間はWindowsNT5.0を語り尽くすには短すぎる。(報道局 浅野広明)
http://www.wincons.or.jp/(Windowsコンソーシアム)
http://www.microsoft.com/japan/(マイクロソフト)