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どっちかといえば「やわらか戦車」を連想しました

女子大生のプニプニしたデバイスをさわってきた

2008年12月04日 20時30分更新

文● メディアアート好きなんです盛田/トレンド編集部

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東大大学院が4年前から開催している「iii Exhibition 10」より。写真は門脇明日香さん作のプニプニした入力デバイス「Jelly Interface」。パン生地のようなデバイスをプニプニすると、圧力を感知して音や光が変化する。詳しくは後述

東京大学発、最新科学技術のメディアアート展へおいでませ!

東京大学大学院 光学系研究科 機械光学専攻教授の荒川忠一氏。講義の一環として制作展を開催している

 秋も深まり、いちょう並木があざやかな黄色に色づく東大キャンパス。工学部の片隅で、今回で第10回となる産学連携プログラム制作展「iii Exhibition」が今日から開催されている。

 もともとは講義の一環としてはじめられたこの制作展、生徒たちが大学院で研究している最先端の科学技術に「分かりやすく、そしてめちゃくちゃ面白く」ふれられるチャンスでもある。

 制作者の生徒からしてみれば「(見えない)科学技術を(魅せる)メディアアートに変換する」という難しさがある。その緊張感が作品個々の高いクオリティーにつながっているのだろう。

 前置きはこの辺にしておいて、さっそく面白かった作品を紹介していこう。ちなみに写真の教授は特にプニプニと関係ない。


面白かった作品の一部をずらっと紹介するよ

栗山貴嗣さん「東京動脈」。東京の地下鉄をイメージ。ストロー状のチューブを、各地下鉄のカラーで染められた水が血液のように流れていく。ふだん生活で利用していながら、見えていないものの美しくも不気味な存在感がきわだつ

新山龍馬さん×赤川智洋さん「Good-bye feet!」。自分の足元が映されたスコープを覗いていると、撮影しているウェブカメラ(写真中央、ロジクール製でした)がスルスルと上に移動していく。「ああっ! 足が遠いっ! 怖いっ!」となり、右写真のように「足と頭が切り離された」イメージになる仕組み。メディア-肉体の錯覚にちょっとぞっとする

おおっ、東大工学部らしく人型ロボットだっ! 行けっ! 戦えっ! ……と思っていたら、トントンと手馴れた手つきでニンジンを切りはじめた。渡辺義明さん「robot cooking」。ニンジンやキュウリなどの野菜は、太かったり細かったりカーブしていたりと、工業製品と違って1つずつ形状が異なるため、それを正確に切っていくのは非常に難しい技術なのである

南部愛子さん「olfacube」。展示された状態だと、立方体の穴からシトラス系の匂いがする。手に取ると、上を向いた面にあいた穴から白い光があふれる。光っているところの匂いをかぐと「甘い匂い」「スッとする匂い」など変化する仕組み。面白い~! 一見奇妙なシステムだけど、考えてみればテレビはコレの「目」版なのだ

冒頭にも写真を掲載したJelly Interface。「人肌ゲル(シリコン)」というプニプニした素材を使用した入力デバイスだ。用意されたヘッドフォンをかけてプニプニすると、音楽がプニプニ度合いで有機的にリミックスされる。併せてライトも変化するため「視覚+聴覚」の両面でデバイスの効果を確認できる。合計8つの感圧センサーが内蔵されており、力の入り具合を演算して出力側に伝えているのだ。どんな形で製品化されるのか妄想……いや想像がつきない

 同展は東京大学本郷キャンパスの工学部2号館(安田講堂の左側)で来週12月9日(火)まで開催している。入場は無料で、毎日11時から19時まで。

 すべての作品が、ただ見るだけではなく「参加する」ことをメインにしているので、「現代アートみたいなのってなんかムズかしそうで……」と思っている人にもオススメできる。

 週末、都内は気持ちのいい冬晴れだそう。いちょう並木を散歩がてら、最新の科学技術をプニプニしに行ってみてはいかが。


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