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Microsoft Imagine Cup 2008世界大会レポート(前編)

パリで敗退の同志社大生、新たな挑戦

2008年07月31日 22時05分更新

文● 新 淳一/ASCII.jp

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世界一を目指した日本代表チームNISlab

NISlabのメンバー

第1ラウンドに望むNISlabの面々

 日本大会を勝ち抜いたNISlabの4人だが、パリの地を踏んだメンバーは当初とは異なる。日本大会後、メンバーの1人が学業上の理由から入れ替わり、英語に強い前山さんを迎えることになったのだ。新メンバーでインターフェイスやプレゼンのストーリーを改良、日本を旅立つ前日に開かれた壮行会では、プレスを前に改良したプレゼンテーションを披露。その出来映えには、プレスの誰もが感嘆の声をあげた。「歴代の代表と比べてもトップクラスのでき」という関係者もおり、世界大会では最高のパフォーマンスで優勝する、そんな青写真が彼らの胸の中にあったかもしれない。出発直前には大勢のプレスを前に、「伝説を作ります!」と意気高揚したコメントまで飛び出した。メンバー交代という試練を乗り越えた4人の姿には学生らしい屈託のない明るさがあり、プレスの誰もが好感を持った。

 しかし、世界の舞台は甘くはなかった。Imagine Cupの今年のテーマは「環境」。61カ国からの参加者が合計2回のプレゼンに挑む第1ラウンドで、NISlabは人のいなくなった部屋の電気機器をオフにするといった電力の自動制御を世界規模で実現するソリューション「ECOGRID」を提案した。プレゼン中に起きた電気をオフにするデモがうまくいかないアクシデントは、機転を利かせ用意していたビデオを流してうまく切り抜けたものの、電力消費を削減する発想のソリューションは、スロバキアなど他のチームと内容がかぶってしまった。


 Q&Aセッションでは、すでに似たソリューションを見た審査員から鋭い質問が必然的に飛んでくる。厳しい質問にも英語に強い新メンバーの前山さんがひるまずに応対していたが、第2ラウンドに進む12チームには残れなかった。


NISlabメンバー

第1ラウンドの初めてのプレゼンテーションを終えてその手応えを語ってくれたNISlabメンバー。デモでは失敗したが、2回目のプレゼン、そして第2ラウンドをにらんで、最後まであきらめず、できることをやると前向きに語っていた

「プレゼン終了時は、やれるだけのことはやったという思いがあったのですが、第2ラウンドに進む12チームの発表後、本当に悔しく思いました。ここまで悔しくなるとは思わなかった」(中島さん)――戦いを終えたNISlabのメンバーは一様に悔しさを口にしたが、「もっと視野を広く持つ、いろんなバックアッププランを考えるなど、幅を広げて対処していたらよかったなと思います」(前山さん)など、前向きな様子は変わらなかった。来春卒業する松下さんをのぞく3人は、「来年も絶対に出場する」という。「日本大会から世界大会までの間にソフトをガラリと変えたが、やればできることを実感した。でも裏返せばその前はやってなかったことになる。次はしっかり1年かけて準備したい。最初からコンセプトを固めて、はじめから世界に向けて作る」と再起を誓った。

大歓声に包まれるファイナルラウンド

 第2ラウンドまでは、ホテル内の小会議室といった趣の小さなコンペティションルームが会場だが、4日目から始まるファイナルラウンドはルーブル美術館の設備である大ホールが戦いの舞台になる。午前にファイナルラウンドに出場できる6チームが発表され、午後には第2ラウンドで敗退したチームや他部門の参加者、各国の関係者など、大観衆の視線を一身に浴びてのプレゼンが始まる。

(次ページへ続く)

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