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権限管理機能付きのユニークな暗号化システム

「キミ、印刷はダメね」 Office文書をガッチリ守る!

2008年07月02日 21時28分更新

文● 小橋川誠己/アスキーネタ帳編集部

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 「ファイル暗号化ソフト」「クライアント管理システム」……各社から“情報漏えい防止”を謳うさまざまなソリューションがここ数年、多数発売されている。すでに何らかの対策製品を導入している企業も少なくないだろう。ただ、実際の導入となると、専用のクライアントソフトを入れる必要があったり、操作手順が煩雑だったりと、業務の中での“普段使い”はなかなか難しいというケースも多いのではないだろうか。

 そんな中、(株)マイクロフォーサムが6月27日に発表した「S-Cop マジックペーパー」は、一風変わった情報漏えい対策システムだ。


暗号化ファイルを“自販機”でダウンロード


 「S-Cop マジックペーパー」は、簡単に言うとMicrosoft Officeの文書ファイルを暗号化するシステムだ。単純に暗号化するだけでなく、パスワードでロックをかけつつ、ファイルを開ける期間や回数、印刷、保存といった制限を加えることができる。いわゆる「IRM(Information Rights Management)」の機能を備えているのが特徴だ。

 「一風変わった」と書いたのは、その使い方。暗号化ソフトなどでは一般的に、作成済みの文書ファイルを選択して暗号化を実行する流れをとるが、S-Copの場合は逆。最初にEXE形式の「マジックペーパー」と呼ばれる空の暗号化ファイルをシステム側で発行し、ユーザーはその中身を編集していく。

 具体的には、(1)専用Webアプリケーション「S-Copマジックペーパー自販機」で、作成したいOffice文書の種類(Excel/Word/PowerPoint)を選択、(2)マジックペーパーファイル(EXE形式)をPCにダウンロードして実行、(3)文書のロック用パスワードを設定、(4)(1)で選択したアプリが自動的に起動(空の文書が開かれる)、(5)文書を編集して上書き保存――という流れで使う。編集したデータはEXEファイルに保存され、次回以降、このファイルを開くとパスワードの入力が求められるようになる。

S-Cop自販機

専用のWebアプリケーション「S-Copマジックペーパー自販機」の画面。販売機のようなUIで、マジックペーパー(暗号化ファイル)を選択してダウンロードする

 ユーザーが直接操作するファイルは、OfficeファイルではなくEXE形式のマジックペーパーで、いったん暗号化したものを元に戻すといった操作は必要ない(EXEファイルをダブルクリックすると直接、Officeが立ち上がる)。常にファイルが暗号化された状態で編集でき、「うっかり暗号化を忘れてメールで送ってしまった」といった事態がなくなる。また、専用のクライアントソフトが不要なので、他人にファイルを渡す際にも便利だ。


権限の管理は「認証キー」で


 冒頭にも説明したが、S-Cop マジックペーパーには、暗号化のほかにも、ファイルの閲覧や編集権限をコントロールできる機能がある。この権限を管理するのが、「認証キー」と呼ばれるものだ。

 認証キーはマジックペーパーの権限が記録された電子ファイルで、先述の専用Webアプリ「S-Cop マジックペーパー自販機」で発行する。その際、「1週間のみ開ける」「印刷は不可」といった権限を指定して、それに沿ったキーがダウンロードされる。マジックペーパーを開く際にダウンロードした認証キーを指定すると、権限情報に基づいてファイルが開く仕組み。同じファイルでも、渡す相手先によって認証キーを変えることで権限を変更できるのがメリットだ。


マジックペーパーを販売するビジネスモデル


 システムを手軽に導入できるように、マイクロフォーサムでは、専用アプリ「S-Cop マジックペーパー自販機」、小型アプライアンスサーバ「S-Cop Center」、それにマジックペーパー本体(EXE形式の空の暗号化ファイル)の3つをセットにして販売する。

S-Cop Center筐体

専用アプライアンスサーバ「S-Cop Center」。幅150×高さ45×奥行き110mmという小型サーバだ

 実は、先ほどから紹介している専用Webアプリの名称が「自販機」となっている理由が、“マジックペーパーをユーザー企業に購入してもらう”というビジネスモデルにある。マジックペーパーは、初回導入時に一定数がストックされており、発行するたびに数が減っていく。残数がゼロになったら、同社からマジックペーパーを追加購入して継続利用が可能になる。

 使い方もビジネスモデルも、これまでの同種の製品に比べてちょっとユニークなこのシステム。その分、ややとっつきにくいような印象もあるものの、クライアントソフトが不要なことや、ファイルの取り扱いが楽な点など、“普段使い”のシステムとしてメリットがありそうだ。

お詫びと訂正:掲載当初、掲載内容の一部に誤りがありました。現在は訂正しております。読者の皆さまならびに関係者の皆さまにご迷惑をおかけしたことをお詫びして訂正いたします(2008年7月3日)。

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