「はてブ」のコメントは、まだ質が高い
── 津田さん自身は、はてなブックマークを利用していますか?
津田 ええ。情報収集という意味では、有益なツールだと思っています。
だからこそ、システム的な改修によって「場」がいい方向に向かえばいいなと感じていましたが、サービスインしてからかなり長い間、はてな側は放置していたように見えるので、そこは不満でしたね。
もちろん、便利なネットサービスにおいて、各個人が思うこと、表現することを、必要以上に制限することの馬鹿馬鹿しさは僕も理解しているつもりなので、「何とかならないかなー」レベルの話ではあったんですけど。
でも、最近は考えが変わって、僕自身ははてなブックマークのコメント機能は「アリだな」と、肯定的に見るようになりました。
── なぜ考えが変わったんですか?
津田 これは明確にきっかけがあって、ある友人と話しているときに、mixiニュースの日記機能の話になったんです。「あれをずらーっと見ていると気分が滅入ってくるよね」と、その友人が言ったときに「はっ!」と気が付いたんです。
確かにmixiニュースの日記機能は、ニュースの内容によってはかなりひどいヘイトスピーチの日記ばかりが羅列されることもあります。それをまとめて見ていくと「これが『世論』だとしたら恐ろしいな……」みたいに一瞬錯覚してしまう。
モバゲータウンにもmixiと同じように、ニュースに対して日記を書ける機能がありますが、こちらは年齢層が低い分、より直接的な言葉が並ぶことも多い。元記事の内容すらまともに読んでいない、「脊髄反射的」なものが見受けられます。
それで僕が思ったのは、「ああ、はてなブックマークのコメントって、mixiやモバゲーに比べれば全然『まとも』だなぁ」ということです。しょうもない理由ですけど(笑)、結構、重要な話なのかなとも思ってます。
実際、僕の書いた記事に付けられるはてなブックマークのコメントの中には、自分では気付かない新しい視点を提示してくれるものもあるんですよね。そういうコメントをきっかけにしてほかの記事を書いたりしたこともあります。
ネットのコメントサービスは、そういういいスパイラルを生み出すツールになっていけばいいですよね。
この連載の記事
-
第36回
トピックス
津田大介が語る、「コルシカ騒動」の論点 -
第35回
トピックス
津田大介が語る、日本版「フェアユース」とは? -
第34回
トピックス
これはひどい? 「薬のネット通販禁止」騒動の顛末 -
第33回
トピックス
どうなる出版? Google ブック検索がもたらす禍福 -
第32回
トピックス
津田大介に聞く「改正著作権法で何が変わる?」 -
第32回
トピックス
なくならないネットの誹謗中傷、どうすればいい? -
第31回
トピックス
テレビ局はなぜ負けた? 津田氏に聞くロクラク事件 -
第30回
トピックス
DRMフリー化は必然──津田氏が語る「iTunes Plus」 -
第29回
トピックス
法律が現実に追いつかない──津田氏、私的録音録画小委を総括 -
第28回
トピックス
「小室哲哉」逮捕で露呈した、著作権の難しさ -
第27回
トピックス
ダウンロード違法化が「延期」していたワケ - この連載の一覧へ