つるんとした「chocolate」
そして、ヴァーチャルなボタンとリアルなボタンを上手く融合させたもうひとつの例が、L704iである。
L704iは、DoCoMoから10月にリリースされた「704i」シリーズ最後のケータイだ。「Black Label」と銘打ってLG電子が製造する世界戦略モデルで、通称「chocolate」フォンという。
そのいちばん特徴は、つるんとした光沢のあるボディーだろう。一般的なスライド式ケータイでは、せっかくダイアルボタンの凹凸群がスライドによって隠れたとしても、ソフトキー周辺で凹凸ができてしまって、表面をスマートに保つことは難しい。
しかしL704iでは、液晶ディスプレー下の十字キーやソフトキー、通話/終話のボタンをタッチパネル化したことで、つるりとしていてうっとりするほどキレイなボディーに仕上がっている。
タッチパネルとボタンのいいとこどり
さて、ヴァーチャルとリアルをつなぐために、先の「PLAY」と「RHYTHM」は突起という解決方法をとったが、L704iのタッチパッドでは、光と振動で触感を知らせてくれる。
例えば操作するために端末に触れると、ボタンの部分が赤いLEDで浮かび上がり、「ここがボタンですよ」とユーザーに教えてくれる。さらにこの光に触れると、端末全体がバイブレーターによって振えて、ボタンに触れたことをフィードバックしてくれるのだ。十字キーを連続スクロールするときには、力をかけずに触れていればいい。とにかくライトな操作感だ。
タッチパネル式のインターフェイスのようにスムーズな感触でありながら、ボタンのような操作感も失っていない──。L704iのタッチパッドは、光と動作、そして振動との関係性が何とも新しい感覚であり、操作していて心地よさを感じさせてくれる。
ちなみに、L704iのダイアルボタンは普通のボタンであるが、クリック感は浅くて反応も良好。タッチパッドのスムーズさを踏襲するような押し心地であり、素早い入力にもしっかりついてくる。
L704iは広告などのブランディングからも、女性を強く意識した端末だということが分かる。
帰宅時に、駅から家まで夜道をケータイ片手に歩く女性は多い。そんなときにも、赤く光るタッチパッドはオシャレな気分を盛り立ててくれるし、その赤い光に触れると返ってくる振動は、どこか安心感すら与えてくれる。普段はメールでも来なければ振えないケータイが、応えてくれるんですから。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。自身のブログはTAROSITE.NET。
*次回は11月15日掲載予定
この連載の記事
-
第100回
スマホ
ケータイの“ミクロな魅力”とは、なんだったのか? -
第99回
スマホ
フォロワー計32万人の2人が語る2009年のiPhoneとメディア -
第98回
スマホ
写真で振り返るケータイ10のミクロなシーン -
第97回
スマホ
ケータイが支える、マイクロ化と遍在化するメディア -
第96回
スマホ
ノマドワークのインフラをどう整えるか? -
第95回
スマホ
冬春モデル発表会で見えた、本当に欲しいケータイ -
第94回
スマホ
デザインから考える、ケータイのこれから -
第93回
スマホ
次の自動車社会とケータイとの関係 -
第92回
スマホ
モバイルアプリを実際に作るにあたっての考察 -
第91回
スマホ
楽しい使い方は現在模索中の「セカイカメラ」 -
第90回
スマホ
iPhoneと過ごしたNYとメキシコの旅でわかったこと - この連載の一覧へ