ユニーク機能に加えて完成度の高さも魅力
機種ごとに細かくカラーリングを変えてくるIXY DIGITALシリーズだが、4種類のシルバー系外装の組み合わせというのはなかなか珍しい。800 ISでは背面に“グロスブラック”を採用して前後でのコントラストが面白かったが、本機ではかなり落ち着いた印象となった。
インターフェースで気になった点としては、タッチホイールの回転による各種モード選択シーンで、モード選択に入るためにホイールを一周するように指を滑らせるタイミングがなかなか掴みにくい一方、持ち方によっては不用意にモードが変更される場合もあるところだ。タッチホイールは『PowerShot G7』(関連記事)のように物理的に回転するダイヤルを持つわけではなく、ボタンを押し込まずに軽く触ることを操作の一部として取り入れたものなので、慣れるまではなかなか難しい操作となるだろう。もっとも、タッチホイールでのみで呼び出せる機能/メニューはなく、従来どおりFuncを押してからカーソルを左右に押しても利用できるため、普通に使っているうちに慣れることができるはずだ。
画質に関しては、900 ISでは28mmの最広角時に周辺部が歪みやすいなど一部不満もあったが、本機では広角側が35mmということもあってあまり目立たず、コンパクト機としては良好な解像感となっている。
新機能のファンタージーナイトモーは確かに面白い。スローシャッターの長い露光時間(1/8秒)にもかかわらず光学手ぶれ補正機構を手ぶれ補正以外にも使うわけなので、被写体を奇麗に写すことにこだわるなら、三脚を使ったほうが図形をきれいに写し込める。フラッシュOFFでの撮影も可能だが、光点以外の建物の輪郭なども手ぶれ防止機構の動き(レンズシフト)にともなって大きくぶれ、輪郭がかなりぼんやりしたものになる。また、光点で構成された背景でないと図形にならないので、全体がライトアップされた建物よりも、電飾を中心とした背景のほうがきれいに写る。このあたりは試行錯誤しながら、撮影ポイントを探してみるのも楽しいだろう。
最近のコンパクト機では光学式手ぶれ補正や高ISO感度などによって、夜間でも手軽にスナップが撮れることが最重視され、さらに“遊園地などのイルミネーションを背景に楽しく”というシーン向けの機能にもかかわらず三脚利用が推奨されるこのモードが受けるかどうかは疑問に思うところではあるが、“光学式手ぶれ補正機構を手ぶれ補正以外に使う”という技術の応用は確かに面白く、すでに搭載している機能の新たな用途開拓に挑戦した姿勢は高く評価したい。
本機は基本的には800 ISを高画素化したもので、レンズやボディーデザインこそほとんど変わりないものの、画像処理エンジンをはじめとした内部を一新して各種機能を最新のものとし、タッチホイールやファンタジーナイトモードなど新たな機能も装備するなど非常に完成度の高い1台となっている。
IXY DIGITAL 810 ISの主なスペック | |
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製品名 | IXY DIGITAL 810 IS |
撮像素子 | 1/2.5インチ有効800万(総830万)画素CCD |
レンズ | 光学4倍ズーム、f=5.8~23.2mm(35mmフィルムカメラ換算時:35~140mm)、F2.8~5.5 |
静止画撮影 | 最大3264×2448ドット |
ISO感度 | オート、高感度オート、ISO 80/100/200/400/800/1600 |
動画撮影 | 640×480ドット、30fps、MotionJPEG圧縮AVI形式 |
液晶ディスプレー | 2.5インチTFT、約23万画素 |
記録メディア | SDメモリーカード(SDHC対応)/MMC |
インターフェース | USB 2.0(Hi-Speed対応)、AV出力、DC入力 |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(BL-5L) |
撮影可能枚数 | 約230枚(液晶ディスプレー表示オン、CIPA測定法準拠) 約700枚(液晶表示オフ、同) |
本体サイズ | 幅90.4×奥行き56.5×高さ26.4mm |
重さ | 約165g(本体のみ) |