このページの本文へ

ERPと生産現場をつないで“見える化”、SAPジャパンが「SAP xMII」を発表

2007年03月20日 20時12分更新

文● アスキービジネス編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

SAPジャパンは、3月20日、製造業向けのデータ連携/分析ソフト「SAP xApp Manufacturing Integration and Intelligence」の日本語版を発表し、同日より出荷を開始した。MESなどの生産現場のシステムとERPパッケージのデータを一元的に扱い、生産現場の意思決定をサポートする製品だ。


エンタープライズSOAを具現化した製造業向けソリューション


 SAPジャパンが発表した新製品「SAP xApp Manufacturing Integration and Intelligence」(xMII)は、大きく「生産統合」と「生産インテリジェンス」の2つの機能を持つ製造業向けの業種特化型ソリューションである。MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)やSFC(Shop Floor Control:生産工程管理)などの生産現場固有のシステムが持つデータを吸出し、ERPパッケージと連携させて一元的に表示・分析することができる。

xMIIのデモの様子。「何が起きているのか判断するには数値の羅列では困る。視覚的に把握できることが重要だ」(SAPジャパンの脇阪氏)としてグラフや図でデータを分析できる

SAPジャパン パートナー&マーケティング統括本部インダストリー事業開発ディレクター 脇阪順雄氏

SAPジャパン パートナー&マーケティング統括本部インダストリー事業開発ディレクター 脇阪順雄氏

 SAPジャパン パートナー&マーケティング統括本部インダストリー事業開発ディレクターの脇阪順雄氏は「日本の工場が持つMESなどの現場の管理手法はおそらく世界一。xMIIはそうした既存システムはそのまま使いながら、ERPと連携させて分かりやすく表示することで、変化への気づきを与えるものだ」と説明する。脇阪氏によれば、ここ数年、多くの製造業が月次から週次生産計画へと移行している中で、工場の稼動停止や受注増といった急な変化へのスピーディーな対応が求められている。xMIIを使えば、ERPが持つ受注データと工場の稼動状況をリアルタイムに表示することで需給のバランスを把握し、バランスが崩れた場合に即座に対策を検討する――といったことが可能となる。

SAPジャパン シニアバイスプレジデント パートナー&マーケティング統括 安田 誠氏

SAPジャパン シニアバイスプレジデント パートナー&マーケティング統括 安田 誠氏

 また、xMIIはSAPの統合基盤「NetWeaver」上で動作するコンポジットアプリケーションであり、アプリケーションの機能をビジネスプロセス単位でコンポーネントとして利用する「エンタープライズSOA」の考えに基づく製品である。SAPジャパンのシニアバイスプレジデントである安田 誠氏は「パッケージが持つコンポーネントを組み合わせてプロセスに組み込むことができる、まさにエンタープライズSOAを具現化した製品。SAPにとって重要な意味を持つ製品だ」と強調した。

 xMIIの価格は非公表で「構築にかかるおおよその費用は1000万~1500万円程度」(安田氏)。なお、xMII自体の動作にはmySAPなどのERP製品は不要だが、安田氏は「ERPと組み合わせることで価値が出る」と話す。

 SAPジャパンでは、xMIIの発売に先駆け、NECおよびNEC情報システムズ(NIS)と協業し、すでにNIS製の工程管理システム「SFCPOP/J」との連携を確認している。同様に他のMESベンダーとの連携も今後推し進め、xMIIの普及を目指す考えだ。

■関連サイト

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード