スターリングコマースは、3月5日、都内で会見し、2007年度の事業戦略を発表した。今年4月に国内でSCM(サプライチェーンマネジメント)アプリケーションスイート「Sterling Supply Chain Application 7.9」を投入するとともに、専任組織を立ち上げ、SCM分野に注力するという。
Yantraをリブランディング、テンプレートで負担軽減
スターリングコマースは、これまでにも調達・生産から販売までのSC(サプライチェーン)を実現するSCMアプリケーションスイート「Yantra」(ヤントラ)を販売してきた。今回発表された「Sterling Supply Chain Application 7.9」(Sterling SCA 7.9)は、このYantraを機能強化したうえでリブランディングしたもので、SOAをベースに他のシステムと連携するSCMシステムを構築できるのが特徴だ。
Sterling SCA 7.9の新機能としては、同社のEAI/B2B連携統合基盤である「Sterling Integrator」との連携を強化するとともに、「PCA」(Packaged Composite Application)と呼ばれるテンプレート機能を追加した。あらかじめ「nWMS PCA」(倉庫管理者用レポート)、「Supply Chain Visibility」(入荷情報の可視化レポート)、コールセンター/店舗オーダー管理、店舗在庫管理などをテンプレートとして提供することで、導入時の開発工数を軽減できるという。また、今年1月に買収した米コマージェントの発注管理ツールの一部機能を取り込み、分散発注管理機能を強化している。
併せて同社では、今年1月に、SCMの専任組織「SCM営業部」を立ち上げたことを明らかにした。新組織ではプリセールスと営業部隊を統合し、開発から販売までを一括して担う体制を整えた。さらに、現在数社のインテグレータからなるパートナープログラムを拡充し、今後、コンサルティング、開発パートナーを追加する。特に開発パートナーを重視し、これまでのグローバルプログラムに加え、日本独自のプログラムを策定するという。
同社マーケティング&アライアンス部長の菅原聡氏は「Yantraはすでに製造業で、発注系システムとしての導入実績がある。今後は特に倉庫管理系システムを伸ばすため、この分野における開発パートナーを募りたい。年度内に5社程度の開発パートナー獲得を目指す」と話した。
スターリングコマースは、2007年度を「2008年のSCMアプリケーションビジネス飛躍に向けた土台作りの年」(米スターリングコマース バイスプレジデントのスコット・パルシファー氏)と位置づけている。日本法人の代表取締役社長である小路恒久氏は「現在の当社のビジネスはデータ転送と連携基盤がメイン」とした上で、「今後、もっとも注力したい分野がSCMであり、パートナーと一緒になって広めていきたい」と意欲を示した。
同社ではこのほか、Sterling IntergratorのIBM System i向け製品「Sterling Intergrator for IBM System i」をリリースする計画も明らかにした。同製品の出荷開始は今春を予定しているとのこと。
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スターリングコマース株式会社は、米AT&T傘下の米スターリングコマースの日本法人。データ転送ソリューション「Connect Direct/Enterprise」を中心に、国内で400社以上の顧客を抱える。SCM分野では昨年12月に、味の素が旧Yantraを受注出荷システムとして採用したことを発表している。