GeForce RTX 2060性能検証!GTX 1070 Ti拮抗の新メインストリーム
文●加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ
2019年01月07日 23時00分
2019年1月7日(日本時間)、NVIDIAはCES 2019のプレスカンファレンスにおいてTuring世代のメインストリームGPU「GeForce RTX 2060」を発表した。Turing世代のGPUは、現時点でDXR(DirectX Raytracing)に対応する唯一のGeForceファミリー(Turing以外ではVoltaのみDXR対応)であり、レイトレーシングのリアルタイム処理を補助するRTコアと、AIによる高画質化(DLSS)を行なうTensorコアを備えているのが大きな特徴だ。
Turing世代の下位モデルはどこまでこれらの機能をサポートするのかが話題となっていたが、今回のRTX 2060のリリースでメインストリーム向けでもDXRやDLSSが使えるGPUであることが判明し、NVIDIAの覚悟がまたひとつ明らかになった。
発売日が北米時間における1月15日、NVIDIAが同社のストアで提供するFounders Edition(以降、FE)は「349ドル」。為替や独自設計などの要素が価格に上乗せされる本邦向けのいわゆる「オリジナルファンモデル」もこの後続々とリリースされる見込みだ。
今回は運良くRTX 2060のFEを試用できる機会に恵まれた。RTX 20シリーズは最上位であるRTX 2080 Tiの製品供給量の問題や、同格型番で従来モデルを大きく上回る価格設定(特に国内)、そして肝心のDXRやDLSS対応タイトルの出遅れなどで好スタートとは言いづらい状況にあったが、RTX 2060はこれを好転させることができるだろうか? 1世代前のPascal世代GPU「GeForce GTX 10シリーズ」に比べて、どの程度優れているのかをチェックしていきたい。
DXR対応で“GTX 1070”相当のスペック
ではRTX 2060のスペックから確認していこう。これまでのRTX 20シリーズはFEのみ“公式OCモデル”的な位置付けでスペックも別に用意されていたが、今回のRTX 2060のレビュアーズガイドから読み取れる範囲内では、FEとそれ以外のカードでスペックに違いがあるとは記載されていなかった。
Turing世代のRTX 2070は「TU106」コアを採用しているが、今回のRTX 2060はこのTU106を若干スペックダウンした形になっている。具体的にはSM数が36基から30基へ、ROPも64基から48基へ……というように最大25%程度のスケールダウンになっている。RTコアやTensorコアもCUDAコアと同様、各SMに分割配置されているため減っている。CUDAコア数は1920基となり、結果的にGTX 1070に近い存在になったというわけだ。ただし、DXRやDLSSに対応しているという点と、メモリーまわりの仕様が大きく異なる。
そのメモリーまわりだがメモリーコントローラー(32bit)が8基から6基に減り、バスは256bitから192bit、容量も8GBから6GBに縮小されている。だが、14GHz相当のGDDR6というスペックは崩していない点に注目したい(Micron製だと10/12/13GHz版のGDDR6チップも存在する)。TuringではCUDAコアそのものの改良や新しいメモリー圧縮技術などを備えており、Pascalよりも少ないCUDAコアでより高いパフォーマンスが期待できる。
RTX 2060の置き換えターゲットはGTX 1070 Ti
このRTX 2060が想定するターゲットだが、NVIDIAは1世代前のGTX 1070ではなく、その上のGTX 1070 Tiの置換を狙っている点を強調しておきたい。ライバルで言うとRadeon RX 590を飛び越し、Vega 56の領域を攻めるための製品だ。
これまでRTX 2080はGTX 1080 Ti+α、RTX 2070はGTX 1080+α……というようにTuring世代のGPUはPascal世代の1ランク上をターゲットにしてきたが、RTX 2060はやや伸び幅が大きくとられている。GTX 1070 Tiは(ゲームにもよるが)GTX 1080のやや下であることを考えると、RTX 2060はメインストリーム向けGPUの基準を大きく押し上げ、DXR世代のGPUのスタンダードにしようという意図のようだ。
レビュアーズガイドによれば、RTX 2060はフルHD~WQHD環境でゲームを快適に遊ぶための製品と記されていた。VRAMが6GBとやや少なく設定されているのは、ライバルのRX 590やVega 56などに比べると見劣りする点だが、WQHD環境想定なら、6GBもあれば大抵のゲームで困ることはない、という判断だろう。
それでは今回の検証環境を紹介しよう。今回RTX 2060 FEをテストするにあたり、比較用として上位モデルであるRTX 2070、想定ターゲットのGTX 1070 TiのほかにGTX 1070と1060も準備。用意した比較用ビデオカードはすべてFEで統一している。ドライバーのバージョンは「Shadow of the Tomb Raider」クラッシュ対策の入った417.58で比較しているが、RTX 2060はレビュー用のドライバーで検証している。
今回の見どころはRTX 2070との性能差も重要だが、それ以上にCUDAコアが1920基、ブーストクロックも非常に近いGTX 1070との性能差、そしてCUDAコア数では格上の1070 Tiにどこまで食らいつくかの2点だ。GTX 1070は流通在庫のみとなっているが、安いものなら4万円台で手に入る。GTX 1070 Tiはそれより1万円ほど上のゾーンにいる。高性能なものは高い、という価格設定が近年顕著になりつつあるが、RTX 2060はどうなるのだろうか?
検証環境 | |
---|---|
CPU | Intel「Core i9-9900K」(8C/16T、3.6~5GHz) |
マザーボード | GIGABYTE「Z390 AORUS MASTER」(Intel Z390) |
メモリー | G.Skill「F4-3200C14D-16GTZR」(DDR4-3200 8GB×2、DDR4-2666で運用) |
グラフィックス | NVIDIA「GeForce RTX 2070 Founders Edition」、NVIDIA「GeForce RTX 2060 Founders Edition」、NVIDIA「GeForce GTX 1070 Ti Founders Edition」、NVIDIA「GeForce GTX 1070 Founders Edition」、NVIDIA「GeForce GTX 1060 Founders Edition」 |
ストレージ | Western Digital「WDS100T2X0C」(M.2 NVMe、1TB SSD、システムドライブ運用)、Crucial「MX300 CT1050MX300SSD4/JP」(M.2 SATA、1.05TB SSD、データドライブ運用) |
電源ユニット | SilverStone「SST-ST85F-PT」(850W、80 PLUS Platinum) |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2018 Update適用済み) |
「3DMark」ではGTX 1070 Tiと激しいバトル
では定番の「3DMark」から始めよう。テストはFire Strikeより上の4テストを実施する。DXR対応の「Port Royal」は配信時期の関係で実施できなかった。
まず、RTX 2070に対してはスコアー約20%前後の減少となっており、これはCUDAコア数やメモリーバス幅のスペックダウン幅とほぼ一致する。概ねスペック通りの性能が出ていると言えるだろう。
従来モデルと比較すると、GTX 1060に対しては40~70%、GTX 1070に対してはほぼ同格~25%のスコアーアップ。格上のGTX 1070 Tiに対しても、Fire Strike Ultraのほかは勝っている。ではなぜ、Fire Strike Ultraでは負けたのか。このテストは内部的に4Kで実行され、VRAMの使用量は6GB弱なのだが、メモリーバスの細さがスコアーダウンに繋がったと考えられる。
ではここで消費電力もチェックしておこう。消費電力測定はラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を使用し、システム起動10分後を“アイドル時”、3DMarkのTime Spyデモ再生時のピーク値を“高負荷時”とするのは今まで通り。
さらに「Shadow of the Tomb Raider」(解像度フルHD、設定は後述)をプレイ状態で放置した時のピーク値を“高負荷時(SotTR)”と、「Battlefield V」(解像度フルHD、設定は後述)でDXRを有効にした状態で「北極光:狼と犬」における特定の場所で放置した時のピーク値を“高負荷時(BFV-DXR)”とした。
全体的に3DMarkのスコアー通りの並びになっていることがわかる。3DMarkだけではそろそろイマドキの大作系ゲームの消費電力とズレが出てくるし、RTコアを使うDXRモードでは消費電力が違うということで測定項目を増やしたが、特にRTX 2060のワットパフォーマンスが悪いという印象は受けなかった。
DXRを有効にすると消費電力が1段上がる感じだが、それでも300W以内に収まる。もちろんゲームの状況次第ではもう少し増える可能性はあるが、大出力電源ユニットに乗り換えずに使えるGPUとしては、RTX 2060は良いワットパフォーマンスを備えていると言えるだろう。
続いては「VRMark」で試す。テストはOrange/Cyan/Blue roomの3つを実行した。
すでにRTX 2070などのレビューで示した通り、VRMarkのOrange Roomはスコアー11000ポイント近辺、平均フレームレートにすると250fpsあたりでキャップになるため、RTX 2070と2060はここだけを見れば性能はさほど変わらない。ただし、より負荷の高いCyan RoomやBlue Roomでは差がぐっと開く。
そして、Pascal世代のGPUに対しては、Turing世代のRTX 2060はCyan Roomのシェーダーと非常に相性が良く、スコアーの伸び率がとても良い。GTX 1070 Tiに対しては約25%のスコアーアップ、GTX 1060に対してはダブルスコアーまで伸ばしている。同じメモリーバス192bit、VRAM6GBのモデルでもここは大きな違いだ。もちろん、GTX 1060に対してCUDAコア数が段違いに多いことがスコアーアップを強力に後押ししているとはいえ、RTX 2060は“x60番台のGPUとしては”これまでになく強力であると言えるだろう。
「Far Cry 5」ではGTX 1070 Tiのわずか上
ここからは実ゲームでの性能比較だが、まずはDirectX11ベースのゲーム中心で攻めてみよう。まずは「Far Cry 5」で試す。画質は“最高”、アンチエイリアスは“TAA”とし、内蔵ベンチマーク機能を利用して計測した。
ここでのRTX 2060の性能はGTX 1070 Tiよりわずかだが上をいっている。4Kでも3DMarkのように息切れすることはないが、「ゲームとして成立させるにはWQHDまで」ということならば、NVIDIAの想定どおりのパフォーマンスを示せていると言える。GTX 1060ならフルHDでも60fps以上はキープできるようだが、RTX 2060ならば解像度を1ランク上げるか、高リフレッシュレート液晶を活かせるというチョイスができるようになるわけだ。
さすがにGTX 1070や1070 Tiからの乗り換えでは大きなメリットを見出せないが、もっと旧世代のGPUから乗り換える場合は、後述するDXRやVirtualLinkなどの未来要素を重視するなら、GTX 1070 Tiをスキップして世代の新しいRTX 2060を選ぶのも十分にアリだろう。
「PUBG」ではGTX 2070寄りの性能
続いては「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下、PUBG)で試す。画質は“ウルトラ”とし、ホリデーシーズンに追加された雪山マップこと“Vikendi”におけるリプレイを再生した際のフレームレートを「OCAT」で測定した。
PUBGでもRTX 2060の性能はRTX 2070とGTX 1070 Tiの間に入り込む形だが、よりRTX 2070に近い性能が出せている。PUBGで対応すると表明されているDLSSが適用されれば、GTX 10シリーズとの性能差はより広がることだろう。WQHDでもRTX 2060は平均60fpsを出せており、一方でGTX 1070 Tiは出せなかった、という点を大いに評価したい。
「SotTR」も「Far Cry 5」と同じ傾向
それではDirectX12ベースのゲームによるベンチマークに入ろう。まずは「Shadow of the Tomb Raider」(以下、SotTR)を利用する。画質はプリセットの“最高”、アンチエイリアスは“TAA”に設定し、ゲーム内のベンチマーク機能を利用して計測した。グラフのバーがGPUごとに4本あるが“GPU-”と付いた項目はGPU側の処理性能だけに注目したもので、ユーザーが実際に目にする平均フレームレート(Avg)とは別である、という点に注意したい。
このゲームの傾向はFar Cry 5に近いものがある。すなわちRTX 2070の平均フレームレートの20%前後下に位置付けられ、GTX 1070 Tiよりもわずかに上というものだ。また、CUDAコア数が多いだけあって、1世代前の同格であるGTX 1060に対しては、性能70~80%増しと大きな差がついている点に注目。GTX 1060はフルHDでも平均60fps達成が難しいが、RTX 2060なら余裕で達成できる。DXRやDLSSに対応したバージョンの登場が待たれるところだ。
「BFV」では4Kプレイが鬼門
続いては「Battlefield V」(以下、BFV)のパフォーマンスもチェックしておこう。まずはPascal世代のGPUと性能を比較するため、DXRは無効化し、単なるDirectX12での描画性能を比較する。あとでDXR有効時のデータも取って比べたいため、ビネット効果などの画面効果はすべてオフ、画質はプリセットの“最高”とした。
テストはシングルプレイで特に描画の重い“ティライユール”の“平等”ステージを利用し、ステージ内の一定のコースを移動した際のフレームレートを「OCAT」で測定した。
性能の分布はSotTRに近いものがあるが、4KになるとRTX 2060は一気に息切れする。実際に「HWiNFO」を利用してRTX 2080 Ti環境でVRAM使用量を観測すると、DXRを使わない状態でも4K時は6.3GB程度を専有する。VRAM6GBのRTX 2060には無謀な条件というわけだ。
だが、フルHDやWQHDではVRAM使用量が5GB前後に収まるのでRTX 2060でも良好なパフォーマンスが期待できる。WQHDでも平均60fps以上をキープできているという点を考えても、次世代AAAタイトルを高画質で楽しむためのメインストリームGPUの再定義、という感じがしてくる。
DXR有効時の「BFV」では6割程度に落ち込むが……
それでは同じ条件を利用して、DXR有効時と無効時(DX12と表記)のフレームレートを比較しよう。基本的にDXRレイトレース・リフレクション品質は“最高”で計測しているが、RTX 2060のフルHD環境のみ“中”にした時のパフォーマンスも加えてみた。反射表現が一部オミットされるが、メインストリームGPUなのでDXR反射設定を落とすテクニックも必要になるだろう。
すでに別記事でDXRパフォーマンス検証をしているが、ここでもDXR有効時はそうでない時に比べフレームレートが約6割程度に落ち込む。RTX 2070だとDXR反射設定を最高にしてもフルHDなら平均60fpsに到達できるが、RTX 2060では難しい。だが、DXR反射設定を“中”に落とせば、平均60fps以上でのプレイは可能である、ということがわかった。
だが、BFVにおけるDXRパフォーマンスは今後さらに伸びることを示唆する情報がレビュアーズガイドに記載されている。その鍵はどうやらDLSSの併用にあるようだ。CES 2019のプレスカンファレンスにおいて提示されたスライドに、ひとつ非常に面白いものがある。
上の図では、RTX 2060をWQHD解像度で運用した場合、BFVのフレームレートはDXRオフ時で平均60fps超、RT(=DXRオン)だと50fps程度まで下がる、となっている。実際これは今回の検証結果にかなり近いものだ。だが重要なのはその後「RTX ON」と示された数値がDXRオフ時とほぼ同じところ、つまり60fps超まで上がる、ということだ。
ここで言うRTX ONとは、DXRに加えDLSSでの処理を追加する、ということだ。NVIDIAはRTコアとTensorコアにどの程度仕事を割り当てれば効率的かベストプラクティスを探っているようだが、DLSSを追加するとDXRを使っていてもDXRオフ時と同等のパフォーマンスが得られる、ということらしい。
下の図はレビュアーズガイドに示されていた表だが、フルHDでBFVのフレームレートは次のようになるという参考値が示されている。そのDLSS対応BFVはいつ出るのか、という問い合わせに関しては「Coming Soon」とのこと。筆者がチャプター1パッチ適用後に実施したベンチマークの苦労が水泡に帰すのも、時間の問題というわけだ……。
「Hitman 2」ではGTX 1070 Tiと大差なし
ここまではRTX 2060は既存のGTX 10シリーズに対し、非常に良いパフォーマンスを発揮できた結果が揃ったが、なかにはそうでもないゲームもある。そうした例のひとつが「HITMAN 2」である。画質は全項目を一番重くなるように設定。フロリダのステージ開始直後、レース場の群衆を通り抜けるように動いた際のフレームレートを「OCAT」で計測した。
RTX 2060はフルHDやWQHDでも平均60fps以上を達成できているが、問題はその上と下のGPUとの差だ。まずフルHDでは平均90fpsあたりで伸びず、GTX 1060以外はほぼ同じパフォーマンスに。WQHDでようやく変化が見られたが、この条件ではGTX 1070 Tiと大差ない結果となった。
「Forza Horizon 4」ではGTX 1070 Tiに惜敗
もうひとつ「Forza Horizon 4」でも試してみた。動的な設定変更はオフにし、プリセットの“ウルトラ”設定を選択。内蔵ベンチマーク機能を利用して計測した。グラフのバーが4つあるのはSotTRと同じ理由からだ。
このゲームでは4K環境でも平均55fpsと動作が軽いのが特徴だが、フルHDとWQHDにおいてはGTX 1070 Tiのほうがわずかに上回っている。RTX 2060とGTX 1070のCUDAコアが同数、さらにブーストクロックが近いともなると、あとはメモリーの帯域とバス幅くらいしか違いはないが、バス幅の狭さ(裏返せばメモリー圧縮などの帯域低減機能がうまく機能していない)がパフォーマンスが伸びない原因のひとつとして考えられるのではなかろうか。
まとめ:実売価格が高ければ単なる“x70番台のリブランド”。真のお手頃メインストリームは次に期待か?
以上でRTX 2060のファーストレビューは終了だ。まず純粋にパフォーマンス面だけを評価すると、RTX 2070に対してはCUDAコアが少ないぶんパフォーマンスはやや下となるが、CUDAコア数が等しいGTX 1070に対しては13~17%程度上、CUDAコア数が格上のGTX 1070 Tiに対しては3~5%程度上の性能が期待できる。
次のグラフは、今回検証に用いたゲームの平均フレームレートを基準に、RTX 2060を100%とした場合に性能上昇(あるいは低下)率の平均を求めたものである。今回試した6本のゲームでの平均なので、あくまで現行ゲームでの一側面を切り取っただけにすぎない点をご理解いただきたい。
フルHDよりもWQHDのほうがPascal世代のGPUに対しアドバンテージを示せているのは改良されたCUDAコアの設計やメモリー帯域(主にメモリークロックや圧縮技術によるもの)が効いていることを暗に示しており、4Kで伸び率が悪くなっているのは、メモリーバス幅の狭さがネックになっていると考えられる。逆にメモリーバス幅が等しいGTX 1060に対しては、どの解像度でも50~62%程度のパフォーマンスアップが期待できる。
買い替えるとすれば、GTX 970やGTX 1060といったVR元年世代のVR入門用GPUだろう。USB Type-Cを備えているRTX 2060搭載カードを選べば、長く使える快適なVR環境になるはずだ。ただし、RTX 2070と同様、安価なカードにはUSB Type-Cは非搭載となるであろう点には注意が必要だ。
しかし、問題は価格だ。筆者の予想では仮にFEと同程度の製品を出せても、為替やら代理店の上乗せぶんがあれば最安で4万円台中後半、高付加価値なオリジナルファンモデルなら5~8万円と予想している。ちょうどGTX 1070 Tiのすぐ上になるわけだ。もしこの予想どおりなら、RTX 2060は“x70番台のリブランドモデル”と評価せざるを得ない。
直近のx60番台は北米価格で249ドル~、国内のオリファンモデルは3~4万円という手の出しやすい製品だった。だが、今回のRTX 2060はFEで349ドルと、初手から100ドル高い。回路規模から言うとすでにGTX 1070(379ドル~)相当なので値下げと言えなくもないが、かつてのx60番台のような割安感はない。NVIDIAとしては、付加価値を乗せた上で次世代ゲーム用にメインストリームのラインを上に引き上げたいのではなかろうか。
しかし、低予算ゲーマーにはそう受け取ってもらえるとは限らない。GTX 1060程度があれば、画質や解像度を欲張らなければ直近の人気タイトルも遊べるという現実がある。それゆえ、今すぐ使えない付加価値のぶん、高価なRTX 2060は割高と感じてしまうことだろう。彼らにとっては今後登場する(かもしれない)下位モデルが本命と言える。ライバルのように既存の設計をシュリンク&オーバークロックして価格リセット、としないだけマシとも言えるが、もう少し価格戦略おいてユーザー側に優しくしてほしいものだ。
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