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カーボンナノチューブ糸で高い熱電変換性能を実現=岡山大など

2024年05月08日 06時38分更新

文● MIT Technology Review Japan

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岡山大学、東京工業大学などの共同研究チームは、カーボンナノチューブ(CNT)を無数に束ねた糸である「CNT紡績糸」を高結晶化し、効率的に半導体材料中の自由電子の数を増加させる「n型ドーピング」を実行する手法を開発。CNT紡績糸を用いて、低温域(150℃以下)で高い熱電変換性能を実現することに成功した。

岡山大学、東京工業大学などの共同研究チームは、カーボンナノチューブ(CNT)を無数に束ねた糸である「CNT紡績糸」を高結晶化し、効率的に半導体材料中の自由電子の数を増加させる「n型ドーピング」を実行する手法を開発。CNT紡績糸を用いて、低温域(150℃以下)で高い熱電変換性能を実現することに成功した。 円筒構造をもつナノスケールの炭素材料であるCNTは、高い機械的柔軟性をもち、人体適応性が高いことから熱電変換材料としての利用が注目を集めている。だがその一方で、CNTの熱電変換特性は、従来材料に対して低いことが問題となっていた。 研究チームはまず、通電加熱処理(最大3100℃)によってCNT紡績糸を高結晶化。続けて、n型ドーパント分子である「N-DMBI」による分子ドーピング(分子を半導体材料に付着させ、半導体材料と分子間の電荷移動を起こすこと)による電子状態制御を実施することで、熱電変換特性を向上させた。さらに、この技術を応用してフレキシブルなCNT紡績糸を用いたπ型熱電変換モジュール(p型とn型の熱電変換材料を組み合わせた熱電変換デバイス)を試作し、低温域で電力を取り出せることを実証した。 低温で動作する熱電変換素子は、工場や車体の排熱や人体の熱など日常生活で発生する温度帯の低温排熱を有効活用するエネルギーハーベスティング技術に必要不可欠である。今回の成果は、次世代のInternet of Everything(IoE)デバイスへの応用や宇宙ステーションなどの極限環境での利用などが期待されるという。 研究論文は、学術雑誌「スモール・メソッズ(Small Methods)」に2024年3月12日付けで掲載された

(中條)

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