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新型コロナ「貼るだけ」で診断、東大がパッチデバイス

2022年07月06日 06時30分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学の研究チームは、従来の注射針を用いた採血に代えて、低侵襲(無痛)で、皮膚に貼るだけで抗体検出ができる、新しいパッチ型抗体検出デバイスを開発した。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体の検出に同デバイスを適用したところ、市販の検査キットと同等以上の感度を実現したとしており、今後、ヒトへの臨床応用を検証し、実用化を進める。

東京大学の研究チームは、従来の注射針を用いた採血に代えて、低侵襲(無痛)で、皮膚に貼るだけで抗体検出ができる、新しいパッチ型抗体検出デバイスを開発した。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体の検出に同デバイスを適用したところ、市販の検査キットと同等以上の感度を実現したとしており、今後、ヒトへの臨床応用を検証し、実用化を進める。 同デバイスは、生分解性多孔質マイクロニードルと、液体を滴下することで抗原や抗体の有無を検査できるイムノクロマト・バイオセンサーで構成されている。多孔質マイクロニードルが皮膚に刺さると、毛細管現象により、連続した微細孔を通して細胞間質液が採取されてセンサーに運ばれる。センサーで抗体が捕捉されると色のついた線で表示されるため目視で読み取ることが可能となる仕組みである。 デバイスに装備する多孔質マイクロニードルは、生体分解性のポリ乳酸を使用して独自に製作。動物実験により、ラットの皮膚から細胞間質液を迅速に抽出できることと、マイクロニードルを除去した後で速やかに皮膚が元の状態に回復したことを確認した。 新型コロナウイルス感染症の感染経過を調べるために、PCR検査などの補完として、新型コロナウイルスに対する抗体の検査が用いられている。しかしながら、検査のための採血には痛みを伴うほか、針による感染の危険性があるといった問題がある。今回開発したデバイスは、小型、低侵襲で簡単に使用できるため、さまざまな感染症の迅速なスクリーニングへの応用が期待される。 研究成果は、国際学術誌サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)のオンライン版で、2022年7月1日付けで公開された

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