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基本機能はそのまま、導入費用はタダの新シリーズ投入

経費管理のコンカー、手つかずだった中堅・中小市場も攻略へ

2015年11月19日 06時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 出張・経費管理クラウドのコンカーは11月18日、中堅・中小企業向けの新サービス「Concur Standard」シリーズを発表した。大手企業を中心に拡販してきた戦略から、中堅・中小企業への訴求も強める。まずは、経費管理クラウド「Concur Expense Standard」(以下、スタンダード版)から提供する。

 「Concur Expense」は、出張・経費管理のクラウドサービス。領収書をスマホやスキャナで電子化し、生産処理を自動化する。9月15日にはその基盤をパートナーに公開し、日本交通(タクシーの領収書をそのまま電子化・処理)をはじめ、多くの協業も実現している。

代表取締役社長の三村真宗氏

手つかずだった中堅・中小市場攻略へ

 ただ、これまで国内ではターゲットが大企業に限られていた。営業体制も「大手担当営業」のみで、中堅・中小市場には「引き合いに対して個別対応していた」(代表取締役社長の三村真宗氏)。その結果、時価総額トップ100の日本企業においては、2015年末時点で14%、2020年までに60%の普及が見込まれるなど大企業にはかなり浸透する一方、中規模企業は3%、小規模企業は0.04%と普及率に大きな差がある。

国内導入実績

これまでは大企業に徹底してフォーカスしていた

 先立ってスタンダード版が開発された米国では、すでに大企業と中堅・中小企業の販売実績が半々となり、中堅・中小市場にも広がりを見せている。今回、日本でもスタンダード版を投入することで、ターゲット企業のすそ野を広げる考えだ。

2016年は中規模企業へ、2017年以降は小規模企業へ展開

 そのため、新たに「中規模企業担当営業」を設置し、スタンダード版の投入によって2016年に急速な立ち上げを図る。また、300人未満の中小企業についても、2017年以降、組織化・販促活動を本格化する予定という。

スタンダード版の内容は?

 では、スタンダード版は何がが違うのか?

 三村氏によれば「基本機能はほぼ共通」という。従来版(プロフェッショナル版)にはグローバル展開、グループ企業展開、大規模組織での利用に最適な「組織拡張性」があったが、スタンダード版では「単一組織内での活用に限定」。その代わり「導入費用を無償化」している。

スタンダード版の概要

 また、導入のしやすさにこだわり、導入のための支援キットや日本語マニュアルを豊富に用意。「単に英語版を翻訳したものではなく、日本での利用開始後の注意点を書いた“日本オリジナル”のものだ」。さらに新たに「設定用ウィザード」を設け、経費の承認申請フローや監査ルールなどを典型的なテンプレートから選ぶだけで導入できる手軽さを実現している。

スタンダード版は「シンプルな製品構成」。複雑な設定が不要

豊富な導入支援キット

電話による導入支援

 今後は中小企業でよく利用されている会計パッケージベンダーなどとのパートナー戦略も進め、製品連携のためのアダプタなどの共同開発を進める。まだ、その社名や社数などは明らかにされなかったが、来春にも詳細が発表される予定だ。

今後3年間で400社に導入

 現在、国内ERP市場(経費精算市場)ベンダー別売上で53%という圧倒的シェアを持つコンカーだが、今回の中規模・小規模事業の拡大によりさらにシェアを広げ、ひいては日本向けの開発投資につなげたい考え。

 「現在、各国・各地域ごとに予算の取り合いをしている。国内の市場シェアがアップすれば、日本向け開発優先度が上がり、機能開発が優先される。そうやって利便性を高めることで、日本のユーザー企業にも価値を還元したい」

 これらにより、2018年までの今後3年間で400社への導入を目指す。

Concur Expenseの画面例

領収書をドラッグ&ドロップで添付できる

「タクシー代が1万円を超えています」。監査機能が怪しい申請をズバリと見抜く

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