このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

AIモデル「Gemini」にフォーカスするグーグル。OpenAIよりも有利な点はどこか

2024年05月21日 08時00分更新

文● 西田 宗千佳 編集●飯島 恵里子/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Google I/O 2024基調講演。AIにフォーカスした内容が発表された

 「今回はグーグル、えらくフォーカスが絞れているなあ」

 米・マウンテンビューのグーグル本社に近いイベントスペース・Shoreline Amphitheatreで「Google I/O 2024」の基調講演を聞きながら、筆者はそんなことを考えていた。

 Google I/O初日の基調講演は2時間ある。いつもなら複数のテーマに分けて新機能・新製品が発表されることになるのだが、今年ははっきりとした軸が1つあった。それはもちろん「Gemini」だ。

 同社のコア技術であるGeminiにフォーカスし、あらゆる製品とサービスにGeminiを活用することを「The Era of Gemini」としてアピールした。

グーグルのスンダー・ピチャイCEOはここからの時代を「The Era of Gemini」とアピール

 そこで発表された技術にどんな意味があったのか、改めて分析してみよう。

一気にグーグルは「Gemini一色」に

 Geminiの存在は昨年のGoogle I/Oで公表されたものだ。Google I/O 2023では最新の生成AIである「PaLM 2」が発表されたところであり、その直後に「Geminiが開発中である」ことが明かされたため、正直なところ「ずいぶん慌てているな」と思ったものだ。

 ご存知のように、Geminiはそれから半年後の昨年末には動作する形で「1.0」が公開された。そこからすぐ「Gemini 1.5」に進化し、今回はその1.5も複数の改良版が提示された。

 今年の基調講演がGeminiにフォーカスしたものになっているところを見ると、去年のGoogle I/Oには(もしかするとその前から)「本命はGeminiであり、グーグルのあらゆるAI技術はGeminiに集約していく」方針を定めて進めることが決まっていたのかもしれない。

 もちろん、想像以上に短いサイクルで動いていて、「こういう判断になったのはほんの3ヶ月前だった」という話もありうるが。

 グーグルのコア技術はこれまで「検索」に紐づいていた。

 あらゆる情報を「検索可能にして整理する」ことがグーグルの目標であり、収益源泉である広告はその結果として拡大していく。スマートフォンやテレビをはじめとしたAndroidを搭載したデバイスも、ネットが使える場所を拡大し、そこで必要な情報を提供するパイプとする……という流れだったわけである。

 それがさらにこれからは、Geminiという生成AIベースの技術を使い、検索の先にある「情報整理」の価値を上げていく戦略へと舵を切ったのだろう。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

ピックアップ