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印南敦史の「ベストセラーを読む」 第30回

『開業医の正体-患者、看護師、お金のすべて』(松永正訓 著、中公新書ラクレ)を読む

「医者は儲かる」は本当か

2024年03月21日 07時00分更新

文● 印南敦史 編集●ASCII

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 『開業医の正体-患者、看護師、お金のすべて』(松永正訓 著、中公新書ラクレ)の著者は、19年間にわたり千葉大学病院の小児外科医を務めたのちに独立し、地域の開業医になったという人物。小児科医(ときには簡単な外科的処置も)としては17年の実績をお持ちだ。

 こうしたプロセスを経てきたことには理由がある。そのことについては前著『患者が知らない開業医の本音』(新潮新書)で克明に解説されているが、あるとき脳動脈瘤が判明して大学病院で働けなくなったため、残された道として開業医を選んだのである。

 「貯金およそ200万円、経営知識ゼロ」の状態で。

 医師が開業したいというときには、それでもやっていける仕組みがあり、そのことについても本書では詳しく解説されているのでご確認をおすすめしたい。きっと納得できるはずだし、そこに行き着くまでの著者の苦悩が綴られた部分も本書の読みどころのひとつだからだ。

 いずれにしても、患者の多さは(小児科に限れば)著者のクリニックがある千葉県千葉市若葉区で“おそらく2番目くらい”。これまでもっとも患者が多かった年は1万8470人の来院があり、落ち着いた現在は1万6000人程度だというのでたいしたもの。

 本書では実体験に基づき、意外と知られていない“開業医のリアルな姿”を明らかにしているのである。

Image from Amazon.co.jp
開業医の正体-患者、看護師、お金のすべて (中公新書ラクレ 809)

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