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太陽光と酸素から過酸を生成する手法を開発=阪大など

2024年01月31日 06時44分更新

文● MIT Technology Review Japan

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大阪大学と静岡理工科大学の共同研究チームは、安価な市販のアルデヒド化合物(以下、アルデヒド)を原料に、太陽光と酸素から過酸を合成することに世界で初めて成功。反応速度論と数理モデル解析から、従来法の問題である過剰酸化反応、及び本過酸合成反応機構詳細を解明した。

大阪大学と静岡理工科大学の共同研究チームは、安価な市販のアルデヒド化合物(以下、アルデヒド)を原料に、太陽光と酸素から過酸を合成することに世界で初めて成功。反応速度論と数理モデル解析から、従来法の問題である過剰酸化反応、及び本過酸合成反応機構詳細を解明した。 有機過酸は、有機合成、材料科学、環境および医療の分野で多様な用途を持つ有機酸化剤として広く知られており、中でも、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)は、有機合成化学分野において汎用されている。mCPBAの合成法としては、アミド・酸塩化物・カルボン酸を有機・無機過酸化物と反応が報告されているが、これら既存法では過酸化物由来の大量の廃棄物が生じるという問題があった。 研究チームは今回、アルデヒドを原料とする過酸(mCPBA)への自動酸化において、(1)アルデヒドの自動酸化を鍵とする効率的な過酸発生方法の開発と、(2)過剰酸化による副反応抑制の二つの条件を満たす有機合成反応条件の探索に取り組んだ。その結果、(1)に関して、酸素雰囲気下、太陽光を照射することで効率的に過酸を合成できることを発見。(2)については、反応速度論と数理モデル解析の結果、酢酸イソプロピルを溶媒に用いることで可能となり、他の副反応も抑制できることがわかった。 今回の研究成果は、有機合成用酸化剤、及び内視鏡の消毒薬等として用いられる過酸を環境調和型かつテーラーメイドに合成可能な新手法を提供するものとして期待される。研究論文は、英国王立化学会誌「グリーンケミストリー(Green Chemistry)」に、2023年11月29日に公開された

(中條)

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