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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第51回

“生成AIゲーム”急増の兆し すでに150タイトル以上が登録

2024年01月29日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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AIコンテンツ利用のゲームはすでに159タイトルに

 Steamでは、一部の審査を受けたゲームには「AI生成コンテンツの開示」という欄が追加されるようになりました。Steamの登録情報を分析するサイトSteamDBによると、1月26日現在で、AIコンテンツを含むゲームとして、すでに159タイトルのゲームが登録されています。今後もあっという間に数は増えていくと考えられます。

Steamの公開情報を集積しているサイトSteamDBで確認できるAIコンテンツの登録ゲーム。24日頃から申請が認められたタイトルが増えはじめている

 ただ、開示されている情報の内容の量にはかなりばらつきがあります。例えば、「Conflux」というカードバトルゲームでは「このゲームでは、AIが生成した画像を利用している」と書いてあるだけであったりします。

「Conflux」に付けられているAI生成コンテンツの開示情報

 NPCと会話をしながら進める推理ゲーム「Quiet on Set」では、「高度なAI技術を採用し、リアルタイムで動的に対話を作り出します。タイピングやマイクによる自然言語入力を使って、謎めいた登場人物たちと対話しながら、陰謀渦巻く世界に没入してください」と詳細に書かれていますが、使用している生成AIについては具体的には説明されていません。

 実際にAIコンテンツの審査を受けてリリースされたゲームはまだ登場していませんが、来月以降から始まるため、ユーザーからの様々なフィードバックを受けながら、開示内容がどのようなものが適正か調整されるものと思われます。そしてSteamの様子を見ながら、他のプラットフォームも追従する可能性が高いと考えられます。

 アメリカでは今なお、生成AIのプラットフォーマーは著作権をめぐる訴訟を抱えています。一方で、生成AIの浸透はゲーム産業で急速に進もうとしています。倫理や雇用の問題を抱えながらも、否応なく採用するゲームは増えていくことになるでしょう。

 しかし、生成AIに批判的なユーザーがいるなか、現実問題としてユーザーが受け入れるかは未知数です。「生成AIを使ったゲームが大ヒットを起こせるのか」ということが、次の焦点になってくるのは間違いありません。

※お詫びと訂正:本文内画像の説明でゲームタイトルを「イナズマイレブン」としていましたが、「妖怪ウォッチ」の誤りでした。(1月31日15:08)

※誤解を招く表現があったため、一部の文章を変更しました。(1月30日16:05)

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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