アリババ「Animate Anyone」はコード未公開
アリババが発表した「Animate Anyone」もすごく話題になりました。
Magic Animateと同じように、1枚のキャラクターの画像から一貫性を担保しつつアニメーションを実現するという技術で、これも動画を見る限り非常に優れている方法のように見えます。
しかし、こちらもやはりコードは非公開です。大きな反響を受け、「私たちは、一般公開のためのデモとコードの準備に積極的に取り組んでいることを保証したいと思います」というコメントは発表しています。ただし、その時期がいつになるのかは明らかにされていません。
同じくアリババが関連技術として公開したAI着せ替え技術「Outfit Anyone」も、アパレル用の商品カタログのページを大きく変えうる重要な技術です。しかし、こちらもデモは公開されているものの、コードは未公開でした。
TikTokには「AIフィルター」が続々追加
このように、最近も様々な新技術が発表されていますが、設定難度が高かったり、コードが公開されていないものが増えている印象です。というのも、企業側としてはコードやデータ環境をあまり公開したくないというのが本音ですよね。
バイトダンス、テンセント、アリババの各社とも、自社のサービスの中に組み込むことを前提とした研究開発でしょうから、公開の仕方によっては、そのまま他社にも利用される可能性を高めることになります。
技術的優位性をアピールするために、どんな研究をしているのかを公開したり、デモ環境は提供するにしても、そのまま無料で利用できるという状態にはしないのが基本になってきています。
実際、バイトダンスは動画アプリの「TikTok」、動画編集アプリの「CapCut」に、生成AIを使った新機能のフィルターを追加しています。
フィルターの多くは、Stable Diffusion登場後に開発された技術やテクニックが組み込まれており、無償で公開された技術が使われているようにも見えます。
CapCutはスマートフォン上で編集しますが、AIを活用した動画作成機能は基本的にクラウド処理。無料で使える機能も含めると数十種類の機能が用意されていますが、無料版は6回までの制限があり、使い続けるには月額1350円の「プロプラン」への加入が必要となっています。
いまやTikTokには、AI加工された動画が常態的にあふれるようになりました。今回発表されたMagic Animateも、遠からずCapCutに実装されることでしょう。
▲「CapCut」のAI機能「超越性」を使って筆者が作成した動画。簡単に設定できる。同じことはStable Diffusionでもできるが、設定はかなり面倒
この連載の記事
-
第67回
AI
アドビの画像生成AI機能がまた進化 白黒3Dモデルがリアルな都市に -
第66回
AI
有名人そっくり、増え続けるAI音声 “声の権利”どう守る -
第65回
AI
画像生成AIに照明革命 日本と世界で同時に“神ツール”登場 -
第64回
AI
自分好みのAIチャット相手を簡単に作れる「Dify」が面白い -
第63回
AI
まるで“いけない話ができるChatGPT” ローカルAI「Command R+」の爆発的な可能性 -
第62回
AI
動画生成AI、映像制作の“民主化”目指して研究進む -
第61回
AI
画像生成AI“児童ポルノ”学習問題、日本では表現規制の議論にも -
第60回
AI
3Dアニメーション技術の革新が止まらない -
第59回
AI
政府、生成AI推進に向けて議論を加速 -
第58回
AI
画像生成AIで同じキャラクターが簡単に作れるようになってきた -
第57回
AI
日本発のリアルタイム画像生成AIサービスが熱い 大手にとっては“イノベーションのジレンマ”に - この連載の一覧へ