環境構築時に使用する生成プログラムの不具合
全銀システムは、システムの中枢となる東京、大阪の2カ所の全銀センターに設置したマルチ構成のホストコンピュータと、各加盟金融機関の事務センターに設置した中継コンピュータ(RC=リレーコンピュータ)、これらを結ぶ通信回線から構成されている。すべてを二重化し、安全性と信頼性を確保しているほか、全銀センターと中継コンピュータの間は暗号化されて通信が行われている。極めて堅牢なシステム構成だ。
今回の障害は、中継コンピュータを、従来の「RC17」シリーズから、新機種の「RC23」シリーズに更改した14行のうち、10行で発生した。
10月10日のコアタイムシステムのサービスが午前8時30分に開始した直後の8時33分頃に障害が発生。RCが仕向電文および被仕向電文を受信すると、内国為替制度運営費付加・チェック処理」プログラムが起動。このアプリケーションには問題はなかったが、共有メモリ(テーブル)に欠損があり、エラーを検知。中継処理アプリケーションが異常終了し、RC本体装置がシステムダウンした。
障害の原因は、環境構築時に使用する生成プログラムに不具合があり、一時的に確保する作業領域が不足。テーブル作成処理の際に、ロードファイルの一部が破損し、テーブルへのアクセス時に正常な値を取得できずに異常終了したことにある。
全国銀行資金決済ネットワークの辻 松雄理事長は、「環境構築において、生成プログラムで確保する作業領域が不足した。商用運用時に、各種インデックステーブルが境界線を突破し、外にあふれたものにおいて、番地がきちんと表示されずに、破損した値として混在することになった。これによって金融機関名による処理ができず、インデックステーブルにアクセスした際に正常な処理が行われずに異常終了した」と説明した。
OSのバージョンを変更する際に、旧バージョンから互換性がない対象を洗い出し、改造を加え、新しいOSでも問題なく動作させる「非互換対応」の作業が行われるが、このときに、ロードファイルから展開されるインデックステーブルのサイズを一時的に拡張する必要があったものの、生成プログラムが、作業領域が確保できており、拡張が不要と判断。結果として、作業領域が不足して破損につながったという。
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