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東大、宇宙線を利用した測位で世界最高精度を記録

2023年11月28日 06時34分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学と国際ミュオグラフィ研究所の研究グループは、宇宙線ミュー粒子を利用した測位技術「muPS」の精度を大幅に改善し、世界記録を更新した。宇宙線測位の実用化へ向けて前進した。

東京大学と国際ミュオグラフィ研究所の研究グループは、宇宙線ミュー粒子を利用した測位技術「muPS」の精度を大幅に改善し、世界記録を更新した。宇宙線測位の実用化へ向けて前進した。 宇宙線ミュー粒子は、銀河系における超新星爆発などの高エネルギーイベントによって加速される宇宙線と、地球大気が反応してできる素粒子で、あらゆる人工構造物をほぼ真空中の光の速度で直線的に貫通する。そのため、muPSはGPS(Global Positioning System)の信号が届かない地下空間などでの高精度な測位への利用が期待されている。 研究チームは当初、宇宙線の飛行時間を測定するために基準測定器と受信検出器を用意し、両者をケーブルでつないで時刻を同期させていた。ただ、使用場所に制限があったことから、第2世代では受信検出器に高精度クロックを搭載し、基準検出器と受信検出器の間でケーブルレスで時刻を同期させるように改良。クロックを何カ月にもわたって1ナノ秒以下の精度で安定運用することがほぼ不可能なことから、ナビゲーション精度は2〜14メートルと大まかなものになっていた。 第3世代となる今回のシステムでは、宇宙線の正確な方向ベクトルとベクトルの始点を超高角度分解能基準検出器で測定することで、宇宙線の飛行軌跡と受信検出器の交点の位置を高精度に推測できるシステムを開発した。ナビゲーション精度を3.9センチメートルまで改善したという。 研究成果は11月23日、ネイチャー・レビューズ・メソッズ・プライマーズ(Nature Reviews Methods Primers)誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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