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世界トップ級の太陽光−水素変換効率、東大・産総研など

2023年08月23日 06時36分更新

文● MIT Technology Review Japan

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人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)と共同研究先である東京大学、産業技術総合研究所、宮崎大学、信州大学は、太陽光を利用して、水を高い効率で分解して酸素を生成できる赤色透明な光電極(水分解用の光触媒を導電性基板上に接合・固定化したもの)を開発。直径がナノメートルサイズの棒状の構造を持つ窒化タンタル光電極を用いることで、世界トップレベルの太陽光-水素変換効率(STH)10%を達成した。

人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)と共同研究先である東京大学、産業技術総合研究所、宮崎大学、信州大学は、太陽光を利用して、水を高い効率で分解して酸素を生成できる赤色透明な光電極(水分解用の光触媒を導電性基板上に接合・固定化したもの)を開発。直径がナノメートルサイズの棒状の構造を持つ窒化タンタル光電極を用いることで、世界トップレベルの太陽光-水素変換効率(STH)10%を達成した。 窒化タンタル光触媒は、波長600ナノメートル(nm、10-9メートル)よりも短い波長の光を吸収し、水を水素と酸素に分解できる材料として知られている。研究チームは、光電極がナノロッド状であることに加え、赤色透明であることを活かして、タンデム型セルを構築。ナノロッド状の窒化タンタルの表面に鉄-ニッケル-コバルト系複合酸化物からなる助触媒を均一に修飾することで、反応開始から7時間にわたって太陽光-水素変換効率を10%に維持させることに成功した。 さらに、過渡吸収分光測定データから導出した物性データを用いて、ナノロッド形状における光学特性やキャリア輸送を考慮した光学および半導体デバイスシミュレーションを実行。ナノロッド状の窒化タンタルが光吸収によって生じた光励起キャリアを高効率に捕集して水分解を駆動できることを明らかにした。 太陽光を利用した「グリーン水素」は、次世代クリーンエネルギーとして期待されている。安価なグリーン水素製造のためには、光触媒の太陽光−水素変換効率(STH)の向上が課題になっており、従来、水分解光触媒でSTH10%を超えるのは困難と考えられていた。研究論文は、アドバンスト・エンアジー・マテリアルズ(Advanced Energy Materials)のオンライン速報版に2023年8月15日付けで公開された

(中條)

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