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パーキンソン病患者の歩行、電気刺激で改善=名古屋市大など

2023年06月30日 06時26分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋市立大学、信州大学、京都大学、明治大学、立命館大学の研究グループは、パーキンソン病による歩行障害に有効な新たなリハビリテーション手法を開発した。

名古屋市立大学、信州大学、京都大学、明治大学、立命館大学の研究グループは、パーキンソン病による歩行障害に有効な新たなリハビリテーション手法を開発した。 研究グループは、一般的な歩行リハビリテーションの効果を高めるために、経頭蓋電気刺激を応用したシステムを開発した。経頭蓋電気刺激は、微弱な電流を頭皮の上から脳に流す電気刺激療法であり、脳の可塑性を誘発する可能性があるとされている。今回の研究では、患者一人一人異なる歩行リズムに同期した電気刺激を加える装置を開発し、パーキンソン病患者を対象に試験を実施した。 試験ではパーキンソン病患者23人を無作為に2つのグループに分け、一方には今回開発した機器による電気刺激を加え、もう一方には偽の刺激を加えた。4分間の歩行リハビリテーションを3回繰り返す試験を週2回、5週間(合計で10回)、外来で実施した。歩行の様子は、歩行速度、遊脚期時間、立脚期時間、歩幅などから試験開始前後に評価。すくみ足については質問紙を使って評価した。 試験の結果、今回開発した機器による電気刺激を加えたグループは、偽の刺激を加えたグループと比較して歩行速度と歩幅が有意に改善したという。歩行中の左右の遊脚期時間の割合から算出した対称性指数(0.5が左右対称であることを示す)や、すくみ足症状に対する主観的な感覚も、有意に改善したとしている。 研究成果は6月9日、「神経学、脳神経外科学および精神医学ジャーナル(Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry)」誌にオンライン掲載された。研究グループは、パーキンソン病患者の歩行障害は、従来の治療法ではあまり効果が期待できなかったが、個別の歩行リズムに合わせた脳電気刺激が効果を発揮する可能性を示したとしている。

(笹田)

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