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貴金属・希少金属を使わないCO2変換光触媒=東工大など

2023年06月02日 06時44分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京工業大学と関西学院大学などの共同研究チームは、貴金属・希少金属や毒性元素を使用しない、新しい二酸化炭素(CO2)変換固体光触媒を開発。可視光を駆動力として、過去最高レベルの性能でCO2をギ酸に変換することに成功した。

東京工業大学と関西学院大学などの共同研究チームは、貴金属・希少金属や毒性元素を使用しない、新しい二酸化炭素(CO2)変換固体光触媒を開発。可視光を駆動力として、過去最高レベルの性能でCO2をギ酸に変換することに成功した。 研究チームは今回、CO2変換の固体光触媒として、スズを中心金属とする金属-有機構造体に注目。可視光を照射すると、それに応答して99%以上の選択率(複数の生成物を与える化学反応における、全生成物量に対する目的生成物の割合)でCO2をギ酸へと変換することを見い出した。また、その際のみかけの量子収率(ある反応系が吸収した光子数に対して、生成物を生成するために使用された電子数の割合)は9.8%で、貴金属・希少金属を用いずにCO2をギ酸へと変換する、従来の単一成分固体光触媒の3.6倍の値を示した。 近年の社会問題であるCO2の増加を解決する方法の一つとして、CO2を有用な化学物質に変換する触媒技術があげられる。光エネルギーを化学エネルギーへと変換する光触媒としては金属錯体が知られているが、その多くは希少金属や貴金属を主成分としているため、資源制約やコストの観点から普遍元素からなる固体光触媒の開発が求められている。 今回の成果は、金属-有機構造体をプラットフォームとした、貴金属・希少金属を用いないCO2変換の固体光触媒の新たな材料設計指針を与えるものと期待される。研究論文は、ドイツ化学誌「応用化学国際版(Angewandte Chemie International Edition)」オンライン版に2023年5月8日付けで掲載された

(中條)

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