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地球サイズの太陽系外惑星を発見、火山活動の可能性

2023年05月23日 06時52分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学が参加する国際研究チームは、宇宙望遠鏡と地上望遠鏡による観測を組み合わせた研究により、約90光年先にある赤色矮星「LP 791-18」を周回する、地球サイズの系外惑星「LP 791-18d」を新たに発見した。この惑星dは、外側の隣接する軌道を公転する大きくて質量の大きい別の惑星からの引力を受けて軌道が楕円形になっており、木星の衛星イオのように火山に覆われている可能性があるという。

東京大学が参加する国際研究チームは、宇宙望遠鏡と地上望遠鏡による観測を組み合わせた研究により、約90光年先にある赤色矮星「LP 791-18」を周回する、地球サイズの系外惑星「LP 791-18d」を新たに発見した。この惑星dは、外側の隣接する軌道を公転する大きくて質量の大きい別の惑星からの引力を受けて軌道が楕円形になっており、木星の衛星イオのように火山に覆われている可能性があるという。 系外惑星が軌道の中心にある恒星の手前を横切る時、恒星の明るさがわずかに暗くなる現象をトランジットと呼び、トランジットを観測することで系外惑星を発見し、その惑星の周期や大きさを調べられる。研究チームは今回、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡の127時間におよぶ連続観測データからLP 791-18dのトランジットを発見した。研究チームによると、この惑星dは、NASAのトランジット惑星探索衛星「TESS」で以前に見つかった惑星bと惑星cの間の軌道に位置し、恒星の周りを公転周期2.75日で公転しており、半径は地球半径のおよそ1.03倍と推定される。 チームはさらに、東京大学の多色同時撮像カメラ「MuSCAT」「MuSCAT2」などを含めた多数の地上望遠鏡を用いて惑星cと惑星dのトランジット観測を繰り返し、惑星dの質量が地球と同程度で、惑星cの質量が地球の9倍程度であることを明らかにした。大質量の惑星cから及ぼされる引力は惑星dの公転軌道をわずかに楕円形に変形させるため、この楕円軌道を公転する中で、惑星dは恒星からの潮汐力(形状を変化させる力)を受け、わずかに変形する。この変形が惑星dの内部に摩擦を生み、加熱した結果、惑星dの表面では活発な火山活動が起こっている可能性があるという。 この惑星については今後、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による惑星大気の観測が期待され、地殻活動が惑星大気にどのような影響を及ぼすかについて重要な発見がもたらされる可能性がある。研究成果は、ネイチャー(Nature)に2023年5月17日付けで掲載された

(中條)

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