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東工大など、高機能触媒となるペロブスカイト酸化物の合成に成功

2023年05月09日 17時51分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京工業大学と東北大学の共同研究チームは、高純度かつ高表面積なペロブスカイト酸化物のナノ粒子を合成する手法を開発した。ペロブスカイト酸化物は有機物の完全酸化や自動車の排気ガス浄化などの反応に対して触媒作用を示す材料であり、今回開発されたナノ粒子はさまざまな有用有機化合物の高効率合成に貢献する材料となることが期待される。

東京工業大学と東北大学の共同研究チームは、高純度かつ高表面積なペロブスカイト酸化物のナノ粒子を合成する手法を開発した。ペロブスカイト酸化物は有機物の完全酸化や自動車の排気ガス浄化などの反応に対して触媒作用を示す材料であり、今回開発されたナノ粒子はさまざまな有用有機化合物の高効率合成に貢献する材料となることが期待される。 研究チームは今回、独自に調製したアモルファス前駆体の熱処理雰囲気を制御することで、高純度が高く表面積が大きいナノ材料を合成することに成功。さらに、前駆体を処理する過程で雰囲気を窒素から空気へ変化(二段処理)させることで、さらなる微粒子化を実現した。今回開発した二段処理手法によって得られたチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)の表面積は、一段処理の材料の約1.5倍、購入品の10倍以上大きく、高純度かつ高表面積なペロブスカイト酸化物ナノ粒子の合成手法として有用であるという。 同チームはさらに、同手法で得られたSrTiO3ナノ粒子触媒を用いて、医薬品などに含まれる高価な化合物の出発原料として利用されるシアノヒドリンを合成。一段処理より優れた触媒性能を示すだけでなく、比較的多量のシアノヒドリンを一度に合成可能であることを見い出した。 ペロブスカイト酸化物の合成において、固相合成法では原料の高温(約1000℃)処理が必要であるだけでなく表面積が小さいことが課題となっている。また、表面積の大きなナノ粒子を合成可能な複雑な多段階プロセスでは、純度が下がってしまう問題がある。今回の研究成果は、米国科学誌エーシーエス・アプライド・マテリアルズ・アンド・インターフェイシーズ(ACS Applied Materials & Interfaces)オンライン速報版に、2023年4月3日付けで掲載された

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