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「XENONコラボレーション」が暗黒物質探索の初期結果を公表

2023年04月04日 06時36分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学や東京大学が参加する国際共同実験「XENONコラボレーション」は、暗黒物質(ダークマター)探索実験である「XENONnT」における最初の結果を公表。2018年に前身実験が報告した制限を大きく更新する結果を得たと報告した。

名古屋大学や東京大学が参加する国際共同実験「XENONコラボレーション」は、暗黒物質(ダークマター)探索実験である「XENONnT」における最初の結果を公表。2018年に前身実験が報告した制限を大きく更新する結果を得たと報告した。 XENONコラボレーションは、宇宙の質量の大半を担う暗黒物質の候補と考えられている未知の素粒子「WIMP(Weakly Interacting Massive Particle:相互作用の弱い重い素粒子)」の直接検出を目指すプロジェクトである。今回のXENONnT実験は、前身の「XENON1T」実験よりも10倍高い感度で暗黒物質を探索できるように設計された。 XENONnT実験では、検出器の運転に必要な総重量8.6トンのキセノンのうち、5.9トンが、暗黒物質と弾性散乱すると同時に、その際に発生する信号を検出するのに使われる。ZENONコラボレーションは今回、4.4トンの液体キセノンを97.1日間観測した初期データについて、ブラインド解析をした結果、データは背景事象のみを含むと考えて矛盾しないとの見解を示した。 背景事象とは、キセノン内部、検出器の部材、あるいは外部からの放射線などによって発生する事象であり、WIMPの相互作用を検出する際には雑音となる。今回の初期データは、前身の実験が取得したデータと同程度の統計量ながら、背景事象を5分の1に減らしたことによって結果を大幅に改善。WIMPと通常の物質との相互作用の大きさについて新たな制限が得られたとしている。 今回の結果は、XENONコラボレーションが、日本時間2023年3月22日22時30分に、イタリア国立物理学研究所グラン・サッソ研究所で開催した特別セミナーで報告された。

(中條)

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