このページの本文へ

東北大など、リュウグウ試料から太陽系最初期にできた物質を発見

2023年02月21日 06時45分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

東北大学などの共同研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星リュウグウの試料中に、太陽系形成最初期に形成した可能性がある物質を発見したと発表した。同チームによると、これらの物質は原始太陽系星雲内側領域で形成した後、太陽から遠く離れたリュウグウ母天体まで運ばれたと考えられるという。

東北大学などの共同研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星リュウグウの試料中に、太陽系形成最初期に形成した可能性がある物質を発見したと発表した。同チームによると、これらの物質は原始太陽系星雲内側領域で形成した後、太陽から遠く離れたリュウグウ母天体まで運ばれたと考えられるという。 はやぶさ2の持ち帰ったリュウグウ試料には、コンドリュール(小惑星起源の隕石に多く含まれている球状の粒子)様物質と、CaとAlに富む包有物(CAI)が含まれていることが「初期分析チーム」の研究から明らかになっている。研究チームは今回、コンドリュール様物質とCAIの詳細な化学組成分析と酸素同位体比分析を実施。リュウグウ試料中にコンドリュール様物質とCAIが存在する意味と、これらの固体粒子の起源を明らかにすることを目指した。 分析の結果、コンドリュール様物質はカンラン石に富む初生コンドリュールと考えられている物質と鉱物学的に類似しており、太陽近傍で形成したものと現在の小惑星帯領域で形成したものに分けられることが分かった。CAIは、太陽系最古のCAIと同じくらい古く、太陽近傍で形成したと考えられるという。両者は共に直径30マイクロメートル以下と小さいことから研究チームは、原始太陽系星雲内側領域で形成したこれらの固体粒子の中でも特に小さいものが選択的に太陽から遠く離れたリュウグウ母天体集積領域まで運ばれたと推定している。 本研究成果は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に、2023年2月16日付けでオンライン公開された。

(中條)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ