先端半導体だけでなくメインフレームへの投資も進めるIBM
米IBMは、ニューヨーク州のハドソン川流域で、今後10年間に、200億ドルの投資を行うことを発表している。これを発表した2022年10月時点が、急激に円安が進展したタイミングだったこともあり、日本では3兆円の投資規模として報道されて話題を集めた。円高に振れた現在でも「3兆円投資」という言葉は残っている。
この投資対象は、Rapidusとの戦略的パートナーシップで話題を集めた2nmによる半導体技術や、2025年は4000量子ビットを実現する量子コンピュータ、脳の神経細胞や神経回路網を模倣したニューロコンピューティングによるAIの進化といった最先端テクノロジーが対象となっており、テックカンパニーであるIBMが、中長期的に、テクノロジーに対して、積極的な投資をしていくことを示した格好だ。
だが、注目しておきたいのは、この投資対象のなかにメインフレームが含まれているという点だ。つまり、IBMでは、半導体、量子コンピュータ、ニューロコンピューティングと横並びで、メインフレームにも積極的な投資をする姿勢を明らかにしているのだ。
富士通が、2030年度にメインフレームの販売を終息し、2035年度にはメインフレームの保守を終了することを発表しているのとは、まさに対照的な方針だといえる。
日本IBMの山口明夫社長は、「メインフレームは、いまが一番の伸び盛り。人間に例えれば、10代の若者が、成長痛になるような驚くべき成長を遂げている」と、ユニークな比喩を用いる。
実際、IBMのメインフレームであるIBM Zの実績を見ると、山口社長の比喩が現実的なものであることがわかる。
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