「AK400」でのCPUフルロードはギリギリ
まずは「CINEBENCH R23」を実行していこう。パワーリミットは無制限のため、「CPU Package Power」はインテル定格の181Wを大きく超え、最高200W前後、テスト中平均190W台になっている。また、「CINEBENCH R23」のマルチスコアは、2万4000ポイント前後だった。
「CINEBENCH R23」実行時の温度推移(CPU Package)をまとめると、「AK620」は最高88度、平均84.27度と、Noctua「NH-U12A」に次いで冷えている。AKシリーズ3製品では「AK620」と「AK500」は、ほぼ並んでいるが、「AK400」はサーマルスロットリングこそ発生しなかったが、最高96度、平均温度も90.96度に達していた。季節柄、室温16~18度程度のバラック状態でのテストになるので、PCケースへ収めた状態では、サーマルスロットリングが発生する可能性は大きい。
続いて「Adobe Premiere Pro」で作成した8K動画(12分30秒)を、「Adobe Media Encoder」で書き出した際のCPU温度をみていこう。解像度は4Kで、コーデックはH.264、ビットレートはVBR 50Mbps、1パス、ソフトウェアエンコードという設定だ。「Adobe Media Encoder」のレンダラーは、「Mercury playback Engine GPUアクセラレーション(CUDA)」で実行している。GPUを使っているので、処理中の「CPU Package Power」は最高160W台、平均120W台となっている。
「AK620」は最高でも余裕の77度で、平気は70.43度となっている。次点は当然「AK500」で最高で82度と余裕を残している。CPUがフルロードされる「CINEBENCH R23」では厳しかった「AK400」も、「CPU Package Power」160W台なら、問題ない温度に抑え込めている。
Core i5-13600Kは、CPUがフルロードされるアプリケーションをメインに使うのでなければ、「AK400」でもギリギリ運用することはできそうだ。けれども、PCケースに収めた夏を考えると、冷却性能に余裕のある「AK620」か、冷却性能とメモリー干渉の心配のない「AK500」を組み合わせるのが正解だろう。
最強の「AK620」をカスタマイズしてみた
「AK620」は為替の影響で価格がアップしているが、1万3000円前後のNoctua「NH-U12A」と並ぶ冷却性能を1万円前後で実現しているためコスパ優秀だ。ただ、デュアルヒートシンク&デュアルファンでメモリーとの干渉がネックになったり、駆動音が大きかったりとマイナス面もある。そんなマイナス面を解消すべく、「AK620」をカスタマイズした状態の性能を確かめてみた。
「AK620」はデュアルファンのため、どうしても動作音は大きくなる。だが、Core i5-13600Kとの組み合わせなら、ファン回転速度を落とした静音運用も十分に狙っていける。さらにメモリーとの干渉は、ちょっと格好悪くなるが、ファンの取り付け位置をヒートシンク-ファン-ヒートシンク-ファンの順にすることで回避可能だ。ここではファン回転速度65%設定時、ファン位置変更、ファン位置変更+回転速度65%の3つのパターンを試した。
結果をみていくと、「CINEBENCH R23」では、PWM制御と65%運用であまり差は出なかったが、「Adobe Media Encoder」では最高で3度、平均で約1度のアップになっている。
ファン位置変更も、「CINEBENCH R23」では影響は現れなかったが、「Adobe Media Encoder」では、わずかだがアップしている。とはいえ、静音重視の65%運用とファン位置変更いずれも、Core i5-13600Kを不安なく使える結果だ。「AK620」なら、Core i5-13600Kのパフォーマンスを最大限引き出しながら、静音&LEDメモリーを活かした使い方ができるといえる。
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