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東北大、「貼るワクチン」で注射と同等以上の効果を確認

2022年09月12日 10時20分更新

文● hitoshi_sasada

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東北大学の研究チームは、痛みを感じさせない短針が多数並ぶ「貼るワクチン」による免疫効果をマウスを使った動物実験で確認した。皮膚表層にはランゲルハンス細胞による優れた免疫システムが備わっており、貼るワクチンには筋肉注射や皮下注射よりも優れた免疫効果が期待できるとされていた。

東北大学の研究チームは、痛みを感じさせない短針が多数並ぶ「貼るワクチン」による免疫効果をマウスを使った動物実験で確認した。皮膚表層にはランゲルハンス細胞による優れた免疫システムが備わっており、貼るワクチンには筋肉注射や皮下注射よりも優れた免疫効果が期待できるとされていた。 研究チームは、貼るワクチンの短針として多孔性のポーラスマイクロニードルを採用。これにワクチン溶液を充填し、ポーラス構造の内壁にマイナス電荷を固定することで、通電時にワクチン溶液を押し出す流れ(電気浸透流)が発生する。 ワクチンの効果は4匹のマウスで確認した。1匹は皮膚下への注射による接種を受け、1匹は生理食塩水をマイクロニードルの電気浸透流で流し、1匹はマイクロニードルを使用するが電気浸透流は使用せずにワクチン溶液を浸透させた。最後の1匹には、マイクロニードルの電気浸透流を利用してワクチン溶液を送り出した。 ワクチンは1週間の間を空けて2回接種し、1週間後に血清中のワクチン溶液に特異的なIgG1とIgEをELISA法で検出した。その結果、マイクロニードルの電気浸透流を利用してワクチン溶液を送り出したマウスで、皮下注射を受けたマウスに匹敵する量の抗体産生を確認できた。 研究成果は8月24日、「ジャーナル・オブ・ドラッグ・デリバリー・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Drug Delivery Science and Technology)」誌に掲載された。研究チームは別途開発している酵素を利用したバイオ発電を利用してマイクロニードルに通電することで、電源も含めてすべてが有機物でできた使い捨て型ワクチンポンプパッチの実現を目指しているという。

(笹田)

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