DXの意義を矮小化してはいけない
デジタル大臣に就任してからの2日間で、日本のデジタル化の遅れを指摘するメールなどが、海外から山のように届いたという。
「コロナ禍で日本のデジタル化の遅れは、多くの国民が肌身で感じている。国民生活をしっかりと便利にしなきゃいかんと思っている」と前置きし、「かなり速いスピードで人口が減り、高齢化が進んでいる日本では、デジタル化できる部分はデジタル化し、人間は人間がやらなきゃいけないところに、もっと集中しなければいけない。また、何かをデジタル化するときに、いままでやっていたものをデジタルに置き換えるだけでなく、業務の見直しなどを行った上でデジタル化しなければ効果がない。個人的な意見だが、海外ではビジネスモデルの変革にまで踏み込んだDXであったのに対して、日本はコストダウンや省人化で止まっていたのではないか」と、日本のデジタル化の遅れの原因を指摘した。
そして、日本の行政や企業がビジネスモデル改革まで踏み出せない理由として、河野大臣があげたのが、「IT人材の偏り」である。
日本では、IT人材の約7割がベンダー企業に在籍し、ユーザー企業に在籍しているIT人材は3割以下に留まっている。これに対して、米国ではベンダー企業のIT人材比率は約35%であり、ユーザー企業には約65%が在籍している。
「行政や民間企業のなかに、ITシステムの発注書を書けるぐらいに、ITの知見がある人がどれぐらいいるか。よくわからないから、誰かに発注書を書いてもらうということが、あったのではないか。ITを理解している人がいて、目的や効果を示せることができると、日本のDXは、実のあるDXになると思っている」とする。
その上で、「まずは、デジタル庁が行政のDXをしっかりと進めることで、デジタル化によって、こんなに世の中に変わるということを国民に実感してもらうことが一番大事である。また、デジタル庁を、デジタル人材の『リボルビングドア(回転ドア)』の手本にしなくてはならない。民間の人たちが、デジタル庁で職務を果たし、また民間に戻った後も、再びデジタル庁で、国の仕事をしたいと思って戻ってきてくれるデジタル庁にしなければないない」と意気込みをみせた。
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