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イジング計算機で「真の最適解」を探索する技術、早大が開発

2022年06月01日 06時56分更新

文● MIT Technology Review Japan

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早稲田大学の研究チームは、「イジングモデル」で表現した組み合わせ最適化問題を解決する際に、「真の最適解」を高精度に探索できる技術を開発した。磁性を説明するために統計力学の分野で導入されたイジングモデルに基づいて組み合わせ最適化問題を解くイジング計算機には、真の最適解を探索する途中に局所最適解から抜け出せないという問題があったが、これを解消した。

早稲田大学の研究チームは、「イジングモデル」で表現した組み合わせ最適化問題を解決する際に、「真の最適解」を高精度に探索できる技術を開発した。磁性を説明するために統計力学の分野で導入されたイジングモデルに基づいて組み合わせ最適化問題を解くイジング計算機には、真の最適解を探索する途中に局所最適解から抜け出せないという問題があったが、これを解消した。 同研究チームは、イジング計算機の計算の単位である「スピン(各スピンは+1あるいは-1の値を持つ)」を、2つあるいはそれ以上結合して1つのスピンとして扱う手法を開発。複数のスピンを同時に反転させるのと同等の効果を得て、真の最適解を得やすくした。さらに、この仕組みをイジング計算機に適用するためのアルゴリズムを開発し、計算機シミュレーターおよび既存イジング計算機で有効性を確認した。 イジング計算機は国内外で研究開発されており、一般のユーザーもクラウド上で使用できる段階になっている。一方、スピンの値を1つずつ反転して解を探索する一般的なイジング計算機では局所最適解から抜け出せない問題があり、これまでに複数のスピンを同時に反転させることで局所最適解から抜け出す方法が提案されていたものの、既存のイジング計算機への実装はハードウェア・コストが高く困難だった。 今回の研究成果は、IEEEトランザクション・オン・コンピューターズ(IEEE Transactions on Computers)のオンライン版に2022年5月27日付けで掲載された

(中條)

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