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AI insideとDNPがタッグを組みユーザー企業のAI活用を支援

AI insideのノーコードAI開発ツール「Learning Center」提供開始

2021年04月22日 14時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2021年4月21日、AI insideは初の自社イベント「AI inside Conference」を開催。ノーコードのAI開発ツール「Learning Center」正式版の販売を開始するとともに、大日本印刷(DNP)と連携したAI活用支援サービスを発表した。

AI inside 代表取締役社長CEO 渡久地 択氏と大日本印刷 常務執行役員 沼野 芳樹氏

AI-OCRからAIの民主化を目指すプラットフォーマーへ

 登壇したAI inside 代表取締役社長CEO 渡久地 択氏は、顧客の声から生まれたプロダクトの道のりを振り返る。2017年にリリースされたクラウド型AI-OCRの「DX Suite」は開発に2年を費やし、500社のユーザーの声で精度を高めた。また、2019年にはDX Suiteを手軽に使えるエッジコンピューターとして「AI inside Cube」、2020年には小型筐体の「AI inside Cube mini」を発表し、ソフトウェアとハードウェアの垂直統合を実現した。現在はクラウド型サービスで累積12億回のリクエストを受けるまでとなっており、エッジコンピューターのAI inside Cubeまで含めるとこの10倍以上のリクエストに応えているという。

DX-SuiteからAI inside Cube、Cube miniまでの流れ

 高いシェアを誇るAI-OCRの分野で注目されることの多いAI insideだが、「世界中の人・物にAIを届け豊かな未来社会に貢献する」というミッションを実現すべく、ユーザーのAI活用を支援するプラットフォーム戦略に進むという。また、「AI inside X」というビジョンを掲げる。ここでのXはさまざまな人やモノを意味しており、AIがあらゆるものに溶け込んでいる世界を意味する。

 今回はAIプラットフォーマーとして進化を遂げるべく、ビジュアルアイデンティティを刷新。新しいロゴは普遍性のあるフォントと黒を採用。また、コーポレートカラーはAIを使う人がそれぞれの色で染められるキャンパスに見立てた白を採用。さらにコーポレートサイトや社内体制も一新した。

AI開発の敷居を下げる「Learning Center」の製品版が登場

 今回のイベントのテーマである「Create & Share」もこうしたプラットフォーム戦略の要素である「使う」「作る」「動かす」「シェアする」の中の一部となる。おもに「作る」という観点で紹介されたのが、α版として提供されていた「Learning Center」だ。

 AIの開発は学習データの収集、作成、学習、推論、評価など複数のフェーズがあり、専門のスキルが必要で、コストがかかっていた。そのため、AI insideでは専門スキルを持たないユーザーでも簡単に学習データの作成を可能にするツールを開発した。これを外販したのがLearning Centerになる。

 Learning Centerを使えば、たとえば動画の中にある作業員やハンドリフト、カート、パレットなどの物のカテゴリを指定し、AIに教え込ませることができる。当然、学習したAIが判定した結果を評価することもGUI上から行なえる。そして、このLearning Centerを用いた「AI活用支援サービス」を提供するためのパートナーが大日本印刷(DNP)になる。DNPからは「200年先の未来をまじめに語る渡久地CEOにひかれた」と語る大日本印刷 常務執行役員 沼野 芳樹氏が登壇する。

 もともとAI insideとDNPは2018年から資本業務提携を結んでおり、DNPが手がけるBPOサービスの価値向上をDX Suiteで実現していた。「DX Suiteの認識精度が突出して高かった」と沼野氏は語る。その後、DNPの社員がAI insideに出向し、AIスキルを上げたことで、今では手書き文字の読み取りやデジタル化にとどまらず、書類の自動仕訳まで自動化することに至ったという。また、Learning Centerを用いた社内のワークショップでは、DNPで製造するICカードのホログラムの外観検査を自動化するAIをわずか1ヶ月で実現した。

 こうした共創を続けてきた両社だが、今回「DX for CX」というコンセプトを掲げ、リアルとデジタルを融合し、顧客の感動体験をともに作っていくという。具体的にはAIの導入を希望する企業や自治体に対して、Learning Centerを用いた活用のプランニング、高精度でセキュアなアノテーションBPOを提供するほか、そして共同で新サービスの開発にもチャレンジするという。

DX for CXについて説明する大日本印刷 常務執行役員 沼野 芳樹氏

ワークフローやフォーム作成ツールなど新製品も披露

 また、「Share」という観点で、Learning Centerで開発したAIサービスのマーケットプライスも強化する。複数ユーザーで共同利用できるAIサービスの開発を進めることで、AIを開発するコストや電力を削減するという。イベントでは日本法務システム研究所が開発した契約書の読み取りを自動化するAIサービスが紹介された。

 さらに今後の製品としてデータのチェックや変換などを含むAI開発作業を統合した「Workflows」やAIを組み込んだフォームを簡単に作れる「Digital Input」のα版も披露。早期の製品化を目指すという。

WorkfolwやDigital Inputなどの製品もα版として提供される

 Learning Centerはアカウント作成や学習データ作成までは無償。モデルを作成し、学習と推論に対して定額の利用料が発生する。学習は月額10万円、推論は月額3万円となっている。

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