最新パーツ性能チェック 第306回
Core i9-10900Kから倍率をひとつ下げて1万円安い!10コア/20スレッドの新星
Core i9-10850Kは8/21に6.2万円で販売予定、7.2万円の10900Kと比較したらほぼ同じ性能
2020年08月19日 11時00分更新
Core i9-10900K/10900、Core i7-10700Kと比較
では今回の検証環境を紹介しよう。比較対象として同じ10コア/20スレッドのCore i9-10900KにCore i9-10900、さらに1ランク下のK付きモデルであるCore i7-10700Kを準備した。BIOSは検証時点における最新のもの(P1.20)とし、BIOS設定はデフォルト値を基本に、メモリークロックだけCPUの定格に合わせて運用している。
Core i9-10900とCore i9-10850Kはともに10コア/20スレッド、最大ブースト時も5.2GHzとスペックでは並んでいる。しかしながら、前者のPL1は65W設定に対し後者は125W設定となるため、Core i9-10850Kのほうがスコアーで上回ることが予想できる。その上でCore i9-10850KがどこまでCore i9-10900Kに迫れるか見てみたい。
検証環境 | |
---|---|
CPU | Intel「Core i9-10900K」(10C/20T、3.7~5.3GHz)、Intel「Core i9-10900」(10C/20T、2.8~5.2GHz)、Intel「Core i9-10850K」(10C/20T、3.6~5.2GHz)、Intel「Core i7-10700K」(8C/16T、3.8~5.1GHz) |
CPUクーラー | Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」(簡易水冷、280mmラジエーター) |
マザーボード | ASRock「Z490 Steel Legend」(Intel Z490、BIOS P1.20) |
メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」(CPUの定格で運用、16GB×2)×2 |
グラフィックス | NVIDIA「GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition」 |
ストレージ | Western Digital「WDS100T2X0C」(NVMe M.2 SSD、1TB) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX Platinum 2000W」(80PLUS PLATINUM、2000W) |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(May 2020 Update) |
スコアーでCore i9-10900Kと見分けることは難しい
今回は時間の関係で「CINEBENCH R20」及び「システム全体の消費電力」のみとしたい。実際のアプリやゲームにおけるパフォーマンス比較は後編記事で詳しく検証する予定だ。
まずはCINEBENCH R20のスコアーから比較しよう。
この結果からわかる通り、Core i9-10850KとCore i9-10900Kの差は極めて小さい。特にマルチスレッドのスコアーは何回か回していると、Core i9-10900KのほうがCore i9-10850Kを下回ることも珍しくなかった。やはりTurbo binが1下がったぐらいではスコアーに大差は付かないのだ。
一方で、Core i9-10900と10850Kの差は極めて大きい。Core i9-10900のマルチスレッドのスコアーがコア数格下のCore i7-10700Kに負けるのはピンと来ないかもしれないが、PL1=TDPの設定にするとTDP65WのCore i9-10900は早々にクロックが落ちてしまうためだ。つまり、これまではCore i9-10900Kの次に性能の高いCPUが欲しければCore i7-10700Kまで落とす必要があった。しかし、今回その間にCore i9-10850Kが滑り込んだというわけだ。価格設定もうなづける。
消費電力はラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を使用した。「アイドル時」はシステム起動10分後、「高負荷時」は「Prime95」のSmallFFTテスト実施時のピーク値、「PL1終了後」もSmallFFTテストを実行中の値だがTurbo Boost Power Maxの時間制限が尽きた後の安定値を拾っている。
性能がほぼ同じなら消費電力もほぼ同じ。Core i9-10850KとCore i9-10900Kは定格で使うぶんにはまったく違いがわからないと言ってよいだろう。
まとめ:1万円値下げで実質性能同じと考えればコスパ良し
今回は時間の関係で簡単な検証のみとしたが、CINEBENCH R20のスコアーだけを見ても、Core i9-10850KとCore i9-10900Kの差は極めて小さく、Turbo binを1下げたデメリットはほとんど感じられない。今回検証した限りでは、何らかの理由でCore i9-10900KになれなかったCPUがCore i9-10850Kとして売られるようになった、と考えるのが自然なところだろう。むしろ1万円安くなって買う側にとっては喜ばしいことこの上ない。
次回はこのわずかな動作クロックの差が実際のアプリやゲームではどの程度影響があるのか否かについて検証してみたい。
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