富士通はもっと早くDX企業にならなくてはいけなかった
Ridgelinezの社名は、「稜線(Ridgeline)」が由来だ。「多くの山々が折り重なり合うことで美しい景色を生み出すように、多様な個性、才能との共創が重なることで、新たな価値を生み出す存在を目指す」としている。
そして、今井新社長はそこに自らの解釈も付け加えてみせる。
今井 「稜線は、山を形づくるものであり、登山道が稜線にあったりする。稜線があるからこそ、山の頂に登ることができる。トランスフォーメーションをやり切るというのは、高い頂に登る目標を持つのと同じである」とし、「Ridgelinezと複数にしているのは、その頂に到達するためのパスはひとつではないこと、様々なビジネスパ―トナーと一緒になって、高みに到達したいという思いを込めた。また、Sではなく、Zとしたのは、AtoZと同じ意味。トランスフォーメーションの頭から最後までを手伝いたいという思いを込めた」
Ridgelinezは、2019年6月に富士通社長に就任し、IT企業からDX企業への変革を打ち出した時田社長にとって肝入れの新会社だ。
時田 「富士通はもっと早くDX企業にならなくてはいけなかった。業種、業務ごとのデータやノウハウを社内でシェアし、うまく活用することができず、豊富なデータを顧客や社会のための価値に還元するための仕組みも十分ではなかった。競合他社ではすでに実践できていることの多くが、富士通では、まだ実践できていない」
と反省する時田氏。そして、Ridgelinezの事業開始を直前に控え、「ようやくここまで来たというのが正直な気持ち。スタート地点としては、想定に近いものが出来上がった。人も揃ってきた。富士通はDX企業に変わったね、という評価を、お客様から早く得られるようにしたい」とする。
「ゼロから1を生み出すトランスフォーメーションをデザインする集団」が、Ridgelinezだ。その成果を早く見たい。
この連載の記事
-
第594回
ビジネス
自動車工業会は、今年もJapan Mobility Showを開催、前身は東京モーターショー -
第593回
ビジネス
赤字が続くJDI、頼みの綱は次世代有機EL「eLEAP」、ついに量産へ -
第592回
ビジネス
まずは現場を知ること、人事部門出身の社長が続くダイキン -
第591回
ビジネス
シャープが堺のディスプレーパネル生産を停止、2期連続の赤字受け -
第590回
ビジネス
生成AIに3000億円投資の日立、成長機会なのか? -
第589回
ビジネス
三菱電機が標ぼうする「サステナビリティ経営」、トレードオフからトレードオンへ -
第588回
ビジネス
富士通の子会社でDX専門のコンサルティングをするRidgelinez -
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? - この連載の一覧へ