セールスではない、サクセスである
「お客様に寄り添う」という言葉には、こうした日本マイクロソフトが置かれた立場の変化が背景にある。
吉田 「売って終わりではなく、長期間にわたって、お客様の成功を支援するためには、正面に座り、向かい合って話をするのではなく、肩と肩を並べて、隣に座るような感じで話をしなくてはならない。このようなスタイルを『寄り添う』という言葉で表現している」
「お客様に寄り添う日本マイクロソフト」は、米マイクロソフト本社で研修を受けた吉田社長が、日本に戻って直後の2019年11月頃から使い始めている言葉である。 米本社で、「Microsoft Mission」を徹底的に理解した吉田社長が、それを噛み砕いた上で、新たに打ち出した言葉ともいえそうだ。
日本マイクロソフト入社以前は、20年以上に渡って、外資系IT企業に勤務し、そのうち20年以上に渡り、経営トップを務めてきた吉田社長は、言い換えれば、30年以上に渡って、マイクロソフトを外から見てきた立場にもあった。
その吉田社長は、「実は、何度か、日本マイクロソフト入りのお誘いを受けたことがある」という事実を明かしてみせる。節目ごとに日本マイクロソフトを強く意識する経験を持っているわけだ。
その立場から吉田社長はこう語る。
吉田 「30年前のマイクロソフトと、10年前のマイクロソフト、そして、いまのマイクロソフトはかなり違った会社になっている。とくに、ここ5年のマイクロソフトは、ビジネスモデルをマイクロソフト中心の視点からお客さま中心の視点に変えるトランスフォーメーションに取り組んできた。全世界14万人の社員全員がお客さま目線に変わるにはまだ時間がかかり、その点では、道半ばである。だが、時価総額100兆円超える企業が、ここまで大規模なトランスフォーメーションを行い、それを成功させた事例はない。マイクロソフトが取り組んできたデジタルトランスフォーメーションの姿を、多くの日本の企業に伝えていきたい」
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