世界レベルで見てスゴいITのサービスや製品
日本にもあるが、中国からもたくさん出てきた
先日、筆者も執筆した「中国S級B級論 ―発展途上と最先端が混在する国」(さくら舎)が発売された。
いつB級からS級に変わったかというテーマのもと、中国のITがいつすごくなったのかについて半年以上前に書いた。半年経過すると、執筆当時の考えとは正直かなり変わるもの。一意見としては間違ってないと言い切れるのだが、違和感を感じる部分も出てきた。そこであらためて本記事では、「もうひとつのS級中国IT論、B級中国IT論、いつ中国がスゴくなったのか」について書いていきたい。
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中国S級B級論 ―発展途上と最先端が混在する国高口 康太、伊藤 亜聖、水彩画、山谷 剛史、田中 信彦(著)さくら舎
中国はどこまでがB級で、どこからS級なのか。そもそもB級は何か、S級は何か、と考えるに、B級はショボいモノ、S級はいいモノを超越したスゴイモノ、その間のA級は普通に利用できるよいモノであると言える。
そこで中国のS級を考える前に、日本のスゴイモノは何かを考えてみよう。
たとえば、富士通やNEC、VAIOといった日本メーカーの軽量ノートPCは他社を超越する軽さがある。中国ではさまざまなノートPCが出ているが、日本の軽量ノートPCのような製品は出ていない。実際そうした「世界最軽量」をうたうものはいい製品である。
ゲームの世界でも、日本メーカーのゲーム機は世界で通用する製品であり、S級と言えるだろう。またソフトにおいても、世界中の雑誌やサイトのレビューを100点満点で換算して平均値をとったメタスコアにおいて、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」「ペルソナ5」「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN」などは、極めて高いスコアを獲得していて、世界に通じるという作品という意味でS級製品と言えるだろう。また最近ではリメイク版の「FINAL FANTASY VII REMAKE」が発表されたが、「FINAL FANTASY VII」は当時のユーザーであれば、初めての経験に衝撃を受けた。それもまたS級製品といえる。
では中国はどうか?
B級中国は今も健在である。手抜き製品はいくらでも存在する。ちょっと確認すれば気づくような誤植をさまざまな商品の説明書で見たが、今も有名メーカーの製品でなければよくあること。印刷物もそうだが、ハードウェアそのものについても、用途不明なコネクターがあったり、部品が足りなかったりすることもしばしばだ。
スマホではシャオミが1つのブレイクスルー
頻繁なソフトウェアアップデートが製品の完成度を上げた
中国のIT系ハードウェアが評価されたのは、小米(Xiaomi、シャオミ)のスマートフォンからだ。当時、コストパフォーマンスが非常に優れていて目立っていたことから、日本のIT系マニアが「どうもシャオミはすごいんじゃないか」とばかりに話題にしたり、レビューしたりしていた。
シャオミはそれまでの中国メーカーのスマートフォンと異なり、カスタムUIである「MIUI」をプリインストールし、素のAndroidよりも使いやすくなるように、頻繁にアップデートを行なった。また紙の説明書は極力シンプルにした上で、本体側で電子コンテンツで細かな説明を見られるようにした。現在の洗練された中国のスマートフォンの雛形はシャオミが作り出したと言ってもいい。B級からの脱却である。
ただシャオミは普通にいいモノではあるが、実際のところはS級かというと言いすぎである。S級は何かといえば、たとえばファーウェイのスマートフォン「HUAWEI P20 Pro」。日本のメディアでもライター各氏がそのAIによるカメラ性能を絶賛していることを考えてもS級といえる。ただファーウェイ問題があるので、その次のHUAWEI P30 Proが日本で出てたとしても、さらに続く製品に関してどうなるかは不明だ。もちろんOPPOやレノボなどの他社が、ファーウェイのフラッグシップに負けないようなスマートフォンを投入してくるのかもしれない。
シャオミのMIUIに始まった、AndroidのカスタムUIしかり、ファーウェイのAIカメラしかり、OPPOやMeituやそのほかの端末にしても、現在評価されるまでに素晴らしいのは中国企業ならではのソフトウェアの頻繁なアップデートの賜物である。
中国のハードウェアのB級、A級、S級の差は修正や更新が矢継ぎ早にできるソフトウェアアップデートの差にあると思っている。更新できないハードウェアでは勢いで作ったB級的なモノが多い一方、更新しやすいAndroid搭載機器などではA級なものが多く、そこから多くの人が研究開発に携わりブラッシュアップされた製品はS級になれるわけだ。
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