今回のことば
「M&Aをしたり、資本政策を実行したりする上では、売上はあまり重要ではない。10兆円になればいいかなぁくらいに思っているにすぎない」(日立製作所の東原敏昭社長兼CEO)
売上収益はあまり重要ではない
日立製作所が発表した2021年度を最終年度とする「2021 中期経営計画」において、経営目標として掲げた指標には、具体的な売上数値を盛り込まなかった。
明らかにした目標値は、2021年度までの売上収益における年平均成長率が3%超、調整後営業利益率で10%超、3年間累計の営業キャッシュフローが2兆5000億円超、ROIC(投資資本利益率)で10%超、海外売上比率で60%超というものだった。
過去3年間の「2018 中期経営計画」では、売上収益10兆円という具体的な数字を掲げていたのに比べると、やや迫力にかけるといわざるを得ない。だが、年平均成長率3%超という数値を当てはめると、売上収益は約10兆3500億円以上、営業利益は1兆円を超える規模となる。年平均成長率3%超が持つ数字の迫力は大きい。
それでも、具体的な売上収益の数値を示さなかった理由を、日立製作所の東原敏昭社長兼CEOは、次のように語る。
「売上収益はあまり重要ではないと考えている。M&Aをしたり、資本政策を実行したりする上では、売上の数値にこだわる必要はない。10兆円になればいいかな、ぐらいに思っているにすぎない。それよりも、SG&Aやグロスマージンの改善を重視したり、M&Aの対象となるところでの利益を意識したりすればいいと考えている」
この連載の記事
-
第591回
ビジネス
シャープが堺のディスプレーパネル生産を停止、2期連続の赤字受け -
第590回
ビジネス
生成AIに3000億円投資の日立、成長機会なのか? -
第589回
ビジネス
三菱電機が標ぼうする「サステナビリティ経営」、トレードオフからトレードオンへ -
第588回
ビジネス
富士通の子会社でDX専門のコンサルティングをするRidgelinez -
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ - この連載の一覧へ