F1もサッカーも最悪の失敗だった
「仮にいままで成功していたとしても、それに満足せずに新たなものを採用し、変えていく必要がある。変わらないと死んでしまう。かつては多くの人が、ノキアやブラックベリーの携帯電話を使っていたが、いまは誰も使っていない。変化に追随できなかったからだ」と指摘する。
また、自らが航空事業に参入したときのことも振り返る。
「私はほとんどの楽器が弾ける。これは楽しいことである。一方で会計の勉強はたくさんしたが、その仕事は嫌いだった。35歳のとき、タイム・ワーナーで働いていた私に航空会社をやってみないかという提案があった。
ロンドンに住んでいた私は、航空会社が好きでいつも空港にいた。バルセロナまで8ポンド、パリまで6ポンドという飛行機を私も飛ばしてみたい。この仕事をやりたいと思った。そこから人生が変わった」
このとき「失敗したらもう一度会計士になればいいと思った。55歳になって、あのときこれをやれば良かったと思っても遅すぎる。人生は一度しかない。チャンスを捕まえることが大切だと感じた」とする。
だが、こうも語る。
「愚かなものと天才の間には、非常に薄い線引きがある」
エアアジアは成功したが、フェルナンデスCEOはいくつもの失敗を経験している。
「私は、たくさん失敗をした。フォーミュラ1のオーナーになったり、フットボールチームのオーナーになったりしたが、どちらも最悪の失敗だった」としながら、「だが、やったことで楽しむことができた。エアアジアも多くの人が失敗すると言っていたが、情熱がひっぱってくれた。明日、バスにひかれても死んでも後悔がない」とする。
そして、会場の聴講者に対してはこう呼びかけた。
「夢があるのならば、失敗を心配せずに取り組んでほしい。夢を実現してほしい。起業するのは難しいが、素晴らしいことである。起業家は、リスクはあるが世界を変えることができ、問題を解決することができる。大切なのは楽しむことである」
フェルナンデスCEOの熱い情熱が聴講者に伝わった講演となった。
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