Gerstner氏による改革で
Cyrixを製造、さらにはLotusを買収
Gerstner氏による戦略の変更は他にもいろいろあった。x86互換プロセッサーでおなじみCyrixは、当初ファウンダリーとしてTIおよびSGS-Thomsonと契約していたが、TIとは契約上の問題で委託を打ち切り、またSGS-Thomsonはより微細化したプロセスの製造が難しいということで、1994年からIBMがファウンダリーを務めることになった。
これがビジネス的に美味しかったか? というと、カツカツというかやや赤字に近い程度だったらしいが、その代わりにIBMが自社でCyrixベースの製品を発売する権利が与えられることになり、こちらで埋め合わせができることになった。
IBMは1991年から自社でもx86ベースのCPUの設計・販売を行なっていたが、こちらは正直あまりパッとしない売れ行きであり、1993年にリリースしたBlue LightingことIBM486BLX3も性能はそろそろ頭打ちになってきており、構造的にこれ以上の性能を引き出すのは難しかった。Cyrixの6x86シリーズはこのBlue Lightningの後継にちょうど良いものとなった。
さらに1995年、IBMはLotus Development Corporationを買収する。連載404回でも書いた通り、IBMが欲しかったのは1-2-3ではなくNotesであった。この買収により、1995年には200万人だったNotesのユーザーは、1998年には2200万人にまで増加している。
IBMはNotesをeSuiteと呼ばれるパッケージアプリケーションに含めることで、eSuiteそのものの売れ行き増加に貢献した。1996年にはネットワーク管理ツールを提供する会社であるTivoli Systems, Inc.も買収している。
この連載の記事
-
第774回
PC
日本の半導体メーカーが開発協力に名乗りを上げた次世代Esperanto ET-SoC AIプロセッサーの昨今 -
第773回
PC
Sound Blasterが普及に大きく貢献したGame Port 消え去ったI/F史 -
第772回
PC
スーパーコンピューターの系譜 本格稼働で大きく性能を伸ばしたAuroraだが世界一には届かなかった -
第771回
PC
277もの特許を使用して標準化した高速シリアルバスIEEE 1394 消え去ったI/F史 -
第770回
PC
キーボードとマウスをつなぐDINおよびPS/2コネクター 消え去ったI/F史 -
第769回
PC
HDDのコントローラーとI/Fを一体化して爆発的に普及したIDE 消え去ったI/F史 -
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ - この連載の一覧へ