Precision BoostとXFRが改良
変更点はこれだけではない。今回、Precision BoostとXFRについては、それぞれPrecision Boost 2とXFR2に変更されたことが発表されている。
まずPrecision Boost 2については、最初に搭載したのはRyzen APUであるが、これがZen+にも搭載された。2になって従来のPrecision Boostよりもより「攻めた」設定になっている。
これまでよりも発熱、あるいは消費電力を監視しながらぎりぎりまで動作周波数を上げる方向にチューニングされているということだ。
これも筆者の検証によるものだが、同じCPUクーラー(Wraith Prism)を利用した場合、Ryzen 7 1800XではCPUコア温度が75度あたりからサーマルスロットリング(温度が上がり過ぎないように、CPU温度が一定値を超えたら動作周波数を強制的に下げて温度を一定に保つ機構)が稼動したのに対し、Ryzen 7 2700Xでは85度に達してもまだサーマルスロットリングが発生しなかった。
おそらくこれは、より高温になっても安定して稼動することが確認できたので、Zen+では上限をより高くしたものと思われる。
これと関連するのがXFR2で、従来は2bin(200MHz相当)に固定されていた上げ幅が、Zen+では可変になり、より上まで伸びるようになったそうだ。つまりCPUクーラーの能力を上げれば、性能の上がり方がより顕著になるというわけだ。
ただ、こうして動作周波数を引き上げると、当然消費電力も増えることになる。今回消費電力削減を実現したとするのは、あくまで「Zenと同じ周波数であれば」という話で、実際はその削減分を超えて動作周波数を上げる方向に設定を振っているので、トータルとしてはやや消費電力が増えているのは加藤勝明氏のレビューにもある通り。
このあたりはもう性格付けの話になるので、たとえばより消費電力を下げたいと思えば、BIOS セットアップなりRyzen Masterなりで動作周波数をZen並みに下げて運用すれば、従来よりも消費電力を引き下げての運用が可能になるだろう。
この放熱に関しても若干の変更があるそうだ。ヒートスプレッダとの接続がハンダによるのは従来と同じだが、この材質を変更したほか、新たにDie Metallizationという、ダイの表面に金属メッキを施すことで放熱性を上げる仕組みを施したそうで、これにより同じヒートシンクの場合でも従来比でダイの温度を最大10度度下げられるとしている。
CPUクーラーを強化すると、それが効きやすくなっているわけで、このあたりも動作周波数向上に役立っている。
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