10nmをスキップし7nm FinFETに移行
7nm世代でサムスンやTSMCに追いつく方針
問題はここからである。大きな流れで言えば、今後GlobalFoundriesは、FinFETとFD-SOIの2本立てでビジネスを展開していく。FinFETはハイパフォーマンス向け、FD-SOIはメインストリームとIoT、RF向けという形だ。
まずはハイパフォーマンス向け。Globalfoundriesは、10nmについては生産を行わず、直接7nm FinFETに移行することをすでに明らかにしている。理由は下のスライドにもあるように、投資に対してのメリットが少ないからだ。
性能は14nm世代に比べて20%未満のアップと35%未満の省電力程度でしかなく、もちろん14nm世代に比べればそれでも多少マシではあるのだが、これにコストと時間を投じるくらいなら、7nm世代にその時間とコストを投じて、7nm世代でサムスンやTSMCに追いつくほうが良いと判断したようだ。
これに関して、7月19日のDigitimesがGlobalfoundries CEOのSanjya Jha氏に行なったインタビューの中に、ちょうど該当する話が出てくる。当該箇所を抜き出すと
「なぜ、Globalfoundriesは自身で7nmプロセスを開発する決断をしたのですか?」
「Globalfoundriesの14nmプロセスはサムスンからライセンスを受けたもので、これはサムスンの14nmの量産を代替できることを想定していた。ところが実際にはこのモデルは、予想した通りには行かなかった」
「しかも、サムスンはこれに続き10nmプロセスの開発に注力したが、このプロセスは我々が望んだものではなかった。それゆえ、Globalfoundriesは自身で7nmプロセス技術を開発する決断をした」
「この7nmプロセスとIPパテントは、かつてGlobalfoundriesがIBMのマイクロエレクトロニクス部門を買収した際に手に入れたものだ。我々はこれを利用して7nmプロセスを開発することに自信を持っている」
となっている。もともと14LPPは、サムスンのFab1~Fab3とGlobalfoundriesのFab8で連携して製造されるという話であったが、実際にはこれによる製造の委託などのビジネスがあまり発生せず、Globalfoundriesにとっては美味しい商売にならなかった、ということが透けて見える。
この結果が10nm世代のスキップであり、同社は2018年に7nm FinFETの第1世代の量産を開始し、2019年には第2世代の量産に入ることを明らかにしているが、これはTSMCと同じタイミングとなる。
第1世代と第2世代ではなにが違うのかは後述するとして、ただそうなると14LPPの量産を開始した2015年から7nm FinFETの量産を開始する2018年まで3年ほど空くことになり、これはさすがに問題である。
その解決策が、連載408回でも出てきた14nm+である。おそらくは14LPP+などになると思うのだが、既存の14LPPを改良して、より性能を引き上げたプロセスがまもなく量産に入る見込みだ。
14nm+に加えて2018年には、さらにもう一段改良を加えた14LPP++とでも言うべきプロセスも用意ができる見込みである。サムスンのFabとは互換性がないが、先のJha氏のインタビューを読む限り、もう互換性にはあまりこだわっていないものと思われる。
これはインテルの14nmと14nm+と同じようなもので、若干の性能アップと省電力化が可能になる(エリアサイズはそれほど変わらない)ものと見られる。
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