Volta版GeForceはどうなる?
SMの構造変更か? プロセスの微細化か?
本題は、このVoltaアーキテクチャーのGeForceはどうなるか? という話である。ここまでの試算でわかったように、16FF+を12FFNにしても、大胆にダイサイズが削減できるわけではない。
一方で性能を上げるには動作周波数を上げるか、シェーダー数を増やすしかない。動作周波数を上げると消費電力が増えるし、シェーダーを増やすとダイサイズが巨大化してコストに跳ね返る。
となると、ありそうなのはSMの内部構造変更か、プロセスの微細化である。まずSMの内部構造変更案について話そう。
下の画像はVolta GP100のSMの構造である。Tesla V100的にはこのすべてのユニットが当然必要であるが、GeForceのグレードだとまずFP64が要らないし、Tensor Coreも微妙なところだ。
そこで、FP64を取り去ってしまえば、SMの構造そのものが相当すっきりする。もちろんこの場合SM自身の再設計(主に物理配置)は必要になるが、エリアサイズそのものをうまくすれば3割程度削減できると思われる。
これと12FFNを組み合わせれば、GP104(314mm2)程度のダイサイズで、GP102に近いシェーダー構成が可能になる。
もう1つの案は10nm世代への移行だ。すでにTSMCは10nmの量産プロセスを開始しているが、最初の顧客はアップルと言われており、仮にここにVoltaコアを突っ込んだところで、十分な数量が確保できるか怪しい。
また10nm世代はモバイル向けで省電力用途向けには向くが、GPUのような製品に向くかどうかは怪しい。実際、XilinxやMediaTek、AppliedMicro(現Macom)などさまざまな16FF+を利用していたメーカーが、TSMCの10nmはスキップして7nmに向かうことを表明している。
では7nmが利用できる2019年以降まで待つのか? というと、製品の投入スパンが空きすぎる。実際別の理由で2017年後半にNVIDIAが製品を投入するのはほぼ確実であり、7nmは論外で、10nmも怪しい。そこで筆者はSMの構造変更案を推したいと思っている。
ちなみに「別の理由」とは、メモリーである。Micronは6月1日にリリースを出し、現行のGDDR5Xを最大16Gbpsまで性能改善することを発表している。
ただ2018年にはGDDR6の量産が始まるので、GDDR5Xを使うとすると、今年後半中に製品が出なければ意味がない。以上を踏まえたうえで、今年9月頃にはGV104コアが12FFNを利用して製造され、これを利用した最初の製品が投入されると予想している。
型番やスペックは完全に筆者の推定なので、目安以上の話ではない。また年末にはGV100コアの需要が一段落すると思われるので、このあたりでこのコアをそのまま使った(ただしメモリーはHBM2ではなくGDDR5X)TITANの後継が出てくるのではないかと予想する。
加えて言えば、GeForce GTX 2070/2080相当の下に、GeForce GTX 2060グレードの製品も投入されるとは思うが、それが年内なのか2018年に繰越しなのか、現状でははっきり読みきれない。なんとなく来年になりそうな気はするのだが。
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