デスクトップ向けCPUは
Ryzen MobileとRyzen Proを年内に出荷
Ryzen 7とRyzen 5の発表はAMDにとって非常に大きなインパクトがあった。現時点で出荷数量の55%、売上げの79%が高いマージンの取れるPremium向け製品となっているそうだ。
そのRyzenであるが、第3四半期中にRyzen 3をリリース予定というのは従来発表があった通りである。現時点でマザーボードは92種類、システムも200以上があり、第2四半期からは大手ベンダーのシステムも期待できるとする。
さて、これに続く話であるが、まず今年第3四半期にRyzen Mobileが投入される。当初は2-in-1からゲーミングノートという範囲の製品をターゲットにすることになる。おそらくゲーミング向けのSKUはそのままAll-in-1タイプのデスクトップにも使えることになるだろう。
このRyzen Mobileであるが、連載399回でも解説した通り、統合されるGPUコアはPolaris世代ではなくVega世代になることが改めて確認された。性能に関しては、比較対象がなにしろExcavator+GCNのAPUなので、当然大きく向上するのはある意味当然ではあろう。
このRyzen Mobileと同時期に発表されるのがビジネス向けのRyzen Proである。まずはデスクトップ向けのRyzen Proが投入され、年末~来年前半にはモバイル向けとなるMobile Ryzen Proが投入される形だ。このPro版はスペック的になにか違いがあるというよりも、ビジネス向けの長期保証(特にドライバー類のサポート)が付いたモデルで、ビジネスユーザー向けということになる。
さて、最後に隠し玉的に発表されたのが、ThreadRipperである。今年の夏、ということは8月前後であろうと思うが、HEDT(High-End DeskTop)向けに最大16コア/32スレッドのCPUを投入するという話だ。競合製品は当然インテルの、それも噂されているBasin Fallsと併せて発表されるCore i9になると思われる。
実態としてはEPYCの16/12コアモデルをそのまま持ち込む形になると想像される。おそらくパッケージそのものはEPYCと同じではないだろうか? ただEPYCの場合、4つのダイが搭載されていることを前提に、各ダイから2chづつDDR4が出るので、合計8ch/16DIMM構成となるが、ThreadRipperはおそらく2ダイ構成で4ch DDR4/8DIMMというあたりに落ち着くと思われる。もちろんダイあたり4コアで、4ダイで16コアという構成の可能性も若干は残されている。
このThreadRipperに関しては一切説明がなかった。このあたり、COMPUTEXのタイミングでもう少し細かい情報が出てくるだろうか? 最後に今後のロードマップを紹介しよう。説明の中では直接は触れられなかったが、同時に公開されたロードマップによれば、まず現在のZenに加えて、14nm+を利用するZenがあり、次いで7nmのZen 2、7nm+を使うZen 3が2020年までに投入されるとする。ここで謎なのが14nm+の表記である。
GlobalFoundriesは、14LPE/14LPPの2つのプロセスをすでに立ち上げており、AMDは14LPPを利用してRyzenおよびPolarisを製造、Vegaも第1世代は14LPPを使うはずである。
ただGlobalFoundriesは続く10nmをスキップして、2018年後半にDUV(Deep UltraViolet:遠紫外線)の露光システムを使ってまず7nmを立ち上げ、次いで2019年にはEUV(Extreme UltraViolet:極端紫外線)に露光装置を入れ替える計画である。
このDUV/EUVが順調に行ったとしても、2年近くノードの更新がないことになる。すでにSamsungは10nm FinFETの量産を始めているし、TSMC/インテルもまもなく開始するため、ここでやや見劣りがする。
ひょっとすると、GlobalFoundriesは7nm世代までのつなぎとして、14LPPの改良版を出すつもりがあるのかもしれない。14nm+という表記はまさにそんな感じだ。
ちなみにこれはNVIDIAがVoltaで採用したTSMCの12FFとはおそらく違うものになると思われる。TSMCの12FFは、物理的な構成は16FF+と同じで、ただし高密度ライブラリーが新たに提供されることでロジック密度を上げたものだ。
もともとは16FF+(16nmの量産FinFETプロセス)→16FFC(低価格版)→12FFC(16FFCのスタンダードセルライブラリーを全部高密度版に入れ替えたもの。同じ回路ならより密度を上げられるし、省電力化も図れるが性能は落ちる)→12FF(16FF+に12FFCのライブラリを適用したものらしい)というやや複雑な過程で生まれた、今のところはNVIDIA専用プロセスとなっている。
要するに従来では7.5~10.5トラックだったものを、6トラック以下に切り替えたもので、効率は改善するが高速動作には向かない。実際Voltaの動作周波数がPascalよりもやや落ちてるあたりがこれを物語っている。
話を戻すと、GlobalFoundriesの14nm+がもし高密度版だとすると、ダイサイズの削減にはつながるし、省電力化も図れるだろうが、動作周波数は間違いなく落ちる。それでもシェーダーを増やせば性能があがるGPUはともかく、CPUで無駄にコア数を増やしてもそう性能改善にはつながらないわけで、実際には(14LPE→14LPPのように)微妙に寸法などをいじって性能改善するのであろう。
おもしろいのは、EPYCには14nm+を使ったZenコアが入る予定は今のところないことだろうか。このあたりはまた機会があったら確認してみたい。
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