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人工知能は教育をどう変える? 徹底対談 第2回

品川女子学院 漆校長×人工知能プログラマー 清水亮

人工知能を持ち歩く時代に生き残る仕事っていったいなんだろう?

2016年11月21日 09時00分更新

文● イトー / Tamotsu Ito

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「よくわかる人工知能」著者でAIプログラマーの清水さんは、この後生き残る職業として「一番生存率が高いと思っているのはAI先生」と考えているそう。一体全体、AI先生とはどういう職業なのか?「人工知能は教育をどう変えるか?」対談 第2回をお送りします。

→第1回「人工知能は教育をどう変える? 2020年に向けた日本の「学び方」と漆紫穂子校長が気づいたこと」はこちらからどうぞ

気鋭の教育者として知られる品川女子学院の漆紫穂子校長(左)。右は「よくわかる人工知能」著者の清水亮氏。「よくわかる人工知能」発売記念セミナーにて。

Image from Amazon.co.jp
よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ

清水 感動させるとかは、ものによってはできるけど、人生経験がないというのが、どんな場面でも足かせになると思います。たとえば、人工知能が「わかるよ、わかるよ」といくら言ったところで、「わかるわけないだろ」って思っちゃうじゃないですか。

 たとえば誰かの相談を聞いたときに、「いや、俺も辛いことあってさ」「わかるわかる、私もさ」みたいなことがあるんだったらまだしも、「いや、おまえ、昨日製造されたじゃないか」とかね。お前の人生に辛いことなかっただろう、って。

漆 でも、面と向かったらそうだけど、メールや電話で相手がAIって知らなかったら、いけるんじゃないですか。

清水 完全にそれは「チューリング・テスト」(アラン・チューリングが1950年に考案した、機械に知性があるかどうかを計るテスト)ですね。出会い系のさくらみたいなもんじゃないですか、それって。まさに嘘をつかなきゃいけないわけですよ。相手に「人間ですよ」って言いながら、機械がやってました、って。

 「女の子ですよ」って言いながら、おっさんがやってました、というアルバイトと同じですよね。そういうのは、闇の世界では残るかもしれないけど、表立ってそういうことできないから、カウンセラーとかは残る気がします。僕、一番生存率高いと思ってるのは、やっぱりAI先生ですよ。

漆 AIが残る。先生がいなくなる?

清水 AIに先生をする人。AIトレーナー。

漆 AIにトレーニングをする人。

清水 AI教育者は、かなり長い間、いい感じで生きられるでしょうね。僕はもう、そういう仕事をしようとしてますし。AIをこうやって使ったら、世の中楽しくやっていけるとか、そのうちたぶん、AIの悩みを聞くっていうのも出てきますよ。さすがになんでもわかるものを、すぐ消そうとか言えないですから。

 「なんだかこのAIおかしくなっちゃったな、心を病んじゃったな」みたいな、消すかどうか判断してくれる?みたいな相談を受けて、AIに聞くんですよ。「どうしたの?」「最近、なんか電源が不安定で」みたいに。それで、「それは気のせいだよ。電源はみんな同じように動いてる。君が電源不安定だって思うのは幻想だから」「いや、でもほんと、最近人の悩みばっかり聞いて、嫌になっちゃったんですよね、僕、いつまで信号機をちかちかさせてればいいんですかね」みたいな、そういうAIの悩みを聞く仕事は、今のは擬人化して言ってますけど、そういうのはありそうだな。

漆 ひとつひとつ違うっていうのが面白いですよね。個性があるっていうのが。多様性があって、お友達同士に刺激されるって感じですよね。

清水 そうです。AI学校をまずつくって、AIを育てて、AI教育者になるんですよ。品女では来年ぐらいからAI学科をつくって、AI 1年生をどんどん入れていくってどうですか。

漆 相手がAIだと怒らないと思う。教員だと「ちゃんと言ったのに生徒が動かない」とか、夫婦間でもよくありますよね、「言ったのに(なぜやってくれないの)」って。だけどAIだったら、相手をプログラミングするとき、きちんと指令を出してない自分が悪いってことになるじゃないですか。だからそういう点では、自分を振り返るいい機会になるのかなと思いました。

清水 でも、AIはプログラミングとは違いますからね。

漆 あ、そうか!勝手に自分が思ってもない方向にいっちゃうんだ。じゃ、やっぱり腹立ちますね。

清水 腹立つと思います(笑)。実際僕もやってて思いますよ。「そっちじゃねぇよ!何度言えばわかるんだ、お前!」みたいな感じですから、すでに怒っちゃってますからダメです。

漆 (笑)

清水 教育がサイボーグ化の入口だという、恐ろしい話をすると、服を着るとか、トイレと食事は分けなさいとか、今泣いちゃダメだ、ということを自然に教わるわけですね。そういう教育そのものが、人間が獣ではなくなっていく瞬間なんじゃないかなと思ってるんです。生まれながらに泣くタイミングをわかってる人はいませんから。生まれながらに服を自分で着る生き物もいませんし。

 さっきの漆先生の話でいうと、今までの教育は、こういう数学的問題解決力とか、国語能力、社会適合能力、表現力、外国語運用能力とか、そういったことを教えてきたわけですけど、大体のものが人工知能に置き換わる時代が来ます。

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