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仮想化の最先端を追う!VMworld 2015レポート 第6回

テックギークなCEOから見たITの過去、現在、未来

時をかけるゲルシンガーCEO、デジタル&ネット時代を語る

2015年09月07日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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これからのセキュリティはアーキテクチャレベルで考える

 こうした“非対称性”を持った戦いの中、クラウドは重要な役割を持つ。ゲルシンガー氏は、「クラウドが実験的だった時代は終わった。これからはプロフェッショナルなクラウドの時代になる」と指摘し、ガバナンスや効率性、売り上げや迅速性など複数の要求を満たすハイブリッドクラウドの活用を訴えた。

 そして、ハイブリッドクラウドの必要性を考える上で、特に重要なのがセキュリティの観点だ。ゲルシンガー氏は国家による盗聴を告発した「スノーデン事件」を、この10年の中でもっとも大きな事件と位置づけ、企業ではローカルでのデータ保有のニーズが高まっていると指摘した。

スノーデン事件はセキュリティに大きなインパクトを与えた

 グローバル企業ではローカルで複数のクラウドが利用されることになり、これらを統合して使うためには「Unified Hybrid Cloud」が必要になってくる。「複数のクラウドを1つのビューで見られる。これがUnified Hybrid Cloudの本質」とゲルシンガー氏は語る。そして、インテル時代、vMotionの技術にインパクトを受けたという経験を語り、今回披露されたクラウド間のvMotionは非常に意義のあるデモだとアピールした。

 セキュリティに関しては、人、アプリ、データなどを包括的に保護することが必要だと説明する。「IT全体の投資が落ちているにもかかわらず、セキュリティへの投資は伸びている。しかし、実際の出費は事件が起こってから発生している。これはなにかおかしい」と語るゲルシンガー氏は、仮想化を活用することでアーキテクチャレベルでセキュリティを担保できるというアピール。「セキュリティは組み込むか(Bolt-in)か、外からくっつけるか(Bolted-on)という議論があったが、これはナンセンスだった。外からボルトで取り付けるところがなかった。この議論はやめ、アーキテクチャレベルからセキュリティを考える必要がある」とゲルシンガー氏は指摘する。

これからのセキュリティはアーキテクチャレベルで考える

プロアクティブな時代を生き残るためのイノベーション

 こうしたハイブリッドクラウドやセキュリティへの取り組みと共に、ヴイエムウェアがチャレンジしているのが、オープン化の推進だ。2012年以降、ヴイエムウェアはマルチベンダー環境への対応、OpenStackやSDN、コンテナ技術へのコミットなどオープン戦略を進め、今年はコンテナ対応の強化やマルチデバイスサポート、さらにはWindows 10への対応も発表した。さらにゲルシンガー氏は「クラウド同士が仲良くするのが、われわれの方向性だ」と述べ、クラウド同士の連携にも意欲を示した。

2012年からスタートしたオープン化への道

 テックギークであるゲルシンガー氏が最後のトピックとして選んだのは「プロアクティブ」というテーマだ。ゲルシンガー氏は約30年前のAI(人工知能)ブームを振り返り、「当時、私は486 CPUのマネージャーをやっていたが、AIのためにより高速なチップが必要だった」と語った。

 しかし、そのときのAIは一時的なブームに終わり、30年後の現在再び盛り上がってきた。「次のイノベーションの波は、私もAIだと思う。リアクティブからプロアクティブな時代になり、人間のやっている作業を代替してくれるようになる」(ゲルシンガー氏)。こうしたプロアクティブの時代には、IoTのようなさまざまなプローブデータがビッグデータとして収集され、リアルタイムに分析される。そして、ソフトウェアがソフトウェアを書く時代に突入し、あらゆるところに分散するという。

 一方で、ITの進展で企業は大きな変革を強いられる。ゲルシンガー氏は、「(格付け会社の)S&Pに選ばれた500の企業のうち約40%は次の10年でなくなるという予測が出ている。マッキンゼーの調査によると、企業の平均寿命も90年から17年になっている。これからリスクをとらなければ、生き残っていけない」と語り、ヴイエムウェアはこれからも生き残るためのイノベーションパートナーになると約束した。来年の「VMworld 2016」はサンフランシスコからラスベガスに会場を移して開催される。

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